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映画の心理プロファイル

『インビクタス/負けざる者たち』(2009 米)

たまたまだけど、この映画を観た直後に米国でトヨタの社長を呼んでの
公聴会が開かれたニュースを見た。
そして、公聴会を仕切っていた議員さんたちに、この映画を観てもらいたいなぁ、
観てくれていたらなぁと切に思ったのでした。

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原題:『INVICTUS』(134分)
監督:クリント・イーストウッド
原作:ジョン・カーリン
脚本:アンソニー・ベッカム
音楽:カイル・イーストウッド マイケル・スティーヴンス
出演:モーガン・フリーマン
    マット・デイモン   

史実に基づいた映画で、クリント・イーストウッドらしくない作品ではあった。
クリントさんの映画で、全編を通してこんなに爽やか、かつ前向きな映画は珍しいと思ったからだ。
でも、被差別者視点での映画という点では、最近のクリントさんらしい映画でもあった。

主人公は、今も91才で健在のネルソン・マンデラ南ア第9代大統領。
アフリカーンス語で分離、隔離を意味するアパルトヘイト(人種隔離政策)に反対して1962年から27年間、
44才の時から71才(!)になるまで投獄されていたマンデラさんが大統領に就任したのが1994年。
映画は、その就任後から始まり、彼が自国で開催されるラグビーのワールドカップを通して国民融和に成功するまでを描いている。

だけど、元支配者階級だった人々と差別され続けていた人々とのわだかまりは一朝一夕に解消されるもんじゃない。
思わず公聴会の議員さんたちに見てもらいたいなぁと思ったシーンも、そんなわだかまりを象徴するようなシーンだった。

黒人が権力を握り、メンバーが黒人ばかりとなった国家スポーツ評議会で、
白人優越の象徴だったナショナルラグビーチームの名称とユニフォームを変えようという決議がなされたのだ。
そこへ乗り込んてきたのがマンデラ。彼はそれを諫めて言う。
「諸君は、卑屈な復讐に走るべきではない」と。
立場が逆転しても、国家の発展のためには白人とも協力しなければならない。
だから意趣返しはやめて同じ国民である白人の感情や立場も尊重しよう、と訴えたのだ。

オバマさんにも公聴会に乗り込んでもらって、こんな演説をしてもらいたかったなぁ・・・と(無理か^^;)。

そうそう、ラグビーでは試合が終わることをノーサイドという。
ノーサイドには「敵味方ではなくなる」という意味がある。
試合(戦い)が終わったら、もう敵も味方もない。お互いをたたえ合おうという、スポーツマンシップにのっとった言葉なんだね。
マンデラさんがこれほどラグビーワールドカップに執着したのは、そんなラグビーの精神を国民に訴えたかったからでもあったんじゃないだろうか。

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by kiyotayoki | 2010-02-28 10:30 | 映画(あ行)