映画の心理プロファイル

『冒険者たち』(1967 仏)

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原題:『LES AVENTURIERS』(110分)
監督:ロベール・アンリコ
原作:ジョゼ・ジョヴァンニ
作曲:フランソワ・ド・ルーベ
出演:アラン・ドロン
    リノ・ヴァンチュラ
    ジョアナ・シムカス

派手なアクションシーン満載の映画かと思わせるタイトルですが、
実のところは固い友情で結ばれた2人の男と、ひとりの美しい女性との軽やかで
ちょっぴり危うい三角関係(スリーサム)が織りなす良質のセンチメンタル・ムービーです。

マヌー(A・ドロン)は曲芸飛行が得意な操縦士。
ローラン(L・ヴァンチュラ)は腕利きのメカニック。
2人はそれぞれの立場で同じ夢とロマンを追う良き友。
そんな2人の前にひとりの美しい女性が現れます。彼女の名はレティシア(J・シムカス)。
鉄くずから作品を創り出すアーチストの卵。

夢破れ、それでも夢を追うマヌーとローランは自分たちの夢実現のための資金稼ぎにアフリカのコンゴ沖に沈む財宝を引き上げる旅に出ます。
もちろんレティシアも一緒。開いた個展の評判が悪くて落ち込んでいたので、気分転換にと2人が誘ったのでした。

海底が透けて見えそうな海と青く高い空。そこで3人は財宝探しという夢を追いながら、
日常に縛られた私たちから見れば夢のような日々を送ります。

『スリーサム(threesome)』モノの名作というと、
トリュフォーの『突然炎のごとく』(1961)が有名ですが、
個人的には『明日に向かって撃て!』(1969)のブッチとサンダンスとエッタの3人の関係が
“いい感じ”だったかな。
もちろん、この映画のマヌーとローランとレティシアの関係も“いい感じ”。

なぜ“いい感じ”なのかといえば、3人がセックスの介在しない、プラトニックな恋をしているからでしょうか。
そんな恋ができるのも、マヌーとローランがいい歳をした大人なのに純な少年の心を失っていないから。
もちろん、どちらかがレティシアに積極的な行動をとれば、3人でつくり上げたせっかくのいい関係も、そして友情さえも崩れ去ってしまう。だったら今のままでいい・・・。レティシアも同じ思いであれば、案外長続きするんです、こういう関係って。

そんな人と人の距離の取り方を『ヤマアラシのジレンマ』という寓話で説明した人がいます。
ドイツの哲学者ショーペンハウエルです。
2匹のヤマアラシはお互いの孤独を慰め合うために抱き合おうとしても、互いのトゲ(エゴ)のためにくっつくことができない。だからヤマアラシは仕方なく互いに傷つかない距離でお互い慰め合おうとする。
それは「傷つくことを恐れる」男女の距離にも当てはまるというのです。

マヌーとローランとレティシアも、自分、そしてそれぞれが傷つかないでいいように、友達以上恋人未満の関係を続けようとしたのでしょう。
そんな関係を続けることは、ある意味、3人にとって内なる『冒険』だったのかもしれません。

考えてみると、他人との距離の取り方って難しいもの。相手が気になる異性であればなおさらです。
あなたも相手との距離の取り方で悩んだこと、何度もあるのでは?

さて、マヌーとローランとレティシアは・・・・。
夢がいつか覚めるように、3人の微妙な関係も終わるときがやってきます。
それも突然に・・・。
予兆はありました。レティシアがローランに告白したのです。
「この旅が終わったら、私、あなたと暮らしたい」
「俺と?」
若いマヌーではなく自分を選んだレティシアを驚きの表情で見返すローラン。
「だけど、・・・マヌーは?」
どこまでも友を第一に思うローランに、レティシアは返す言葉を持っていませんでした。
悲劇が起きたのはその直後のこと・・・。

これ書き終えたら、その辺りのところから久しぶりに見てみようかな。
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by kiyotayoki | 2004-09-12 10:18 | 映画(は行)