映画の心理プロファイル

『ハート・ロッカー』(2008 米)

やっとオスカー受賞作を観てきた。
スクリーンにタイトルが出てきて、初めて誤解していたことがわかったのだけれど、
ハート・ロッカーって、HEART ROCKERではなくてHURT LOCKERなんだね。
てっきり心臓を揺さぶるような危険な仕事をする連中の映画だと思っていたら、
傷つけるものを封じ込める仕事をする連中の映画だったのか(HURT LOCKERには棺桶という意味もあるらしい)。

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監督:キャスリン・ビグロー
脚本:マーク・ボール
音楽:マルコ・ベルトラミ他
出演:ジェレミー・レナー
   アンソニー・マッキー
   ブライアン・ジェラティ

じりじりとお尻から炙られるような気分になって、それが延々と続く映画でありました。
疲れていたこともあり、あまりにも“じりじり”が長い時は不謹慎にもついウトウトしちゃったけど(^^;

舞台は、テロの脅威が続く混沌のイラク・バグダッド。
そこで、死と隣り合わせの日常を生きるアメリカ軍爆発物処理班の男たちの姿を力強く描き出した緊迫のドラマ。

観てつくづく思ったのは、戦争を起こすのは簡単だけど、その後処理って膨大な時間と金と労力、そして人的消耗を要するものなんだなぁということ。
これは2004年の物語みたいだけれど、ブッシュからオバマに政権が代わっても、いまだに戦後処理が続いてる。
前政権のツケを払わされて混乱しているところは、なんだか今の鳩山内閣とダブって見えてきちゃった。

爆発処理チームのリーダーとして新たに赴任したジェームズ(ジェレミー・レナー)はチームワークを乱す独断専行タイプ。
今の政権でいうと、 亀井静香郵政・金融担当大臣みたいなキャラクター。
それにつき合わされる仲間はたまったもんじゃない。
それでなくても生と死の瀬戸際にいるというのに、何をしでかすかわからない男が身近にいるんだから気の休まる時がない。

それにしても、消耗し精神が崩壊しかけた仲間のひとり、サンボーンの言葉にはぞっとした。
サンボーンは結婚はしているものの、子供はまだいらない、作りたくないと公言ていたのだけれど、
その彼が声を絞り出すようにして「子供が欲しい」とジェームズに訴えたのだ。
人は身の危険を感じるほど子孫を残そうとする本能に拍車がかかることは知られている。
だから、「子供が欲しい」という言葉自体には驚かなかったのだけれど、そのあとに、サンボーンはこう言ったのだ。
「息子が欲しい」と。

息子(男)ということは、長じたら自分と同じ道を歩むかもしれないのに・・・。
だいたい戦争なんてものを起こすのは、男と相場は決まってる。男は破壊が好きなのだ。
なのにそれでもサンボーンは息子を欲している。
それも本能のなせるわざだとしたら、人類が戦争と縁を切る日は永久に訪れないということかも。

恐ろしや・・・。

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by kiyotayoki | 2010-04-15 11:42 | 映画(は行)