映画の心理プロファイル

『ゴシカ』(2003 米)

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原題:『GOTHIKA』(97分)
監督:マチュー・カソヴィッツ
出演:ハル・ベリー
    ロバート・ダウニーjr.
    ペネロペ・クルス
    チャールズ・S・ダットン 

不思議な響きをもつタイトル『ゴシカ』は、“ゴシック小説(ホラー)”の“コシック”
からきているんですってね。
“ゴシック小説”とは、
「中世の古城などゴシック建築物を舞台に恐怖・怪奇を主題とする物語」
と広辞苑にあります。
そんなタイトルのついた映画らしく、お話の舞台になるのは鬱蒼とした森の中に
建つ古城のような女子刑務所。

主人公ミランダ(H・ベリー)は、刑務所内にある精神病棟に勤める精神科医。
彼女の上司は、夫でもあるダグ(C・S・ダットン)。なのに同僚のグレアム
(R・ダウニーJr)はミランダに気があるようなそぶり。
彼女が担当するクロエ(P・クルス)は悪魔に犯されたと訴えている患者。
それに対して論理性・合理性を重んじるミランダは努めて冷静に対処します。
その態度に怒りを爆発させたクロエはこう叫びます。
「私を精神異常者だと決めつけてる人をどうやって信頼できるっていうの?!」

雨の夜、車で自宅へ向かっていたミランダは、いきなり目の前に現れた少女
に驚き、ハンドルを切り損ねて車を大破させてしまいます。
なんとか車外に出たミランダは、道路の真ん中で突っ立ったままの少女のもと
へ。ずぶぬれの少女の顔はまるで死人のよう。
心配して触れようとした瞬間でした。少女の体が発火し、その火がミランダにも
燃え移ったのです。そこで画面はブラックアウト。

目を覚ましたミランダには驚愕の現実がつきつけられます。なんと彼女は夫殺し
の犯人として彼女が勤めていた病棟に収監されていたのです。担当医は同僚
だったグレアム。どんなに抗弁しても医者としての態度を崩さない彼にミランダ
は思わずこう叫びます。
「私を精神異常者だと決めつけてる人をどうやって信頼できるっていうの?!」

こうして囚われの身となってしまったミランダは、自分の無実を証明すべく
孤独な闘いを始めることになります。

それにしても私たちはなぜ気味が悪く、残酷なシーンが連続するホラー映画に
惹かれてしまうのでしょう。
精神分析学の祖フロイトは、
「人間には2大欲求がある。それはエロスとタナトスである」と言っています。
エロスは、生存・生殖欲求、つまり生きたいという欲求です。
一方のタナトスは、死・破壊欲求、つまり死にたいという欲求。
フロイトによれば、人間には自分も他者も破壊したいという強い欲求がある。
だから自殺してしまう人もいれば、戦争を起こして大量殺戮までしてしまう。
けれど、そんな欲求を表に出してしまえば、いくつ命があっても足りません。
でも欲求は満足させたい。ならばどうすればいいか。
そう、こうしたホラー作品を見ることによって、その欲求を解消しようとする。
ホラー作品は、人間が根元的に持っているタナトス欲求のはけ口になって
いるというわけです。 
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by kiyotayoki | 2004-09-19 01:07 | 映画(か行)