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映画の心理プロファイル

『プリシラ』(1994 豪)

原題:『THE ADVENTURES OF PRICILLA . QUEEN OF THE DESERT』
   (103分)
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監督:ステファン・エリオット
出演:テレンス・スタンプ
    ヒューゴ・ウィーヴィング
    ガイ・ピアーズ
    ビル・ハンター

真夏のオーストラリア・シドニーで毎年開催されるお祭りがあります。
『マルディグラ』というゲイとレズビアンの祭典がそれ。
はではでメイクときらびやかな衣装の集団がお色気と芳香をふりまきながら
街を闊歩するんですから、これは見もの。

この映画の主役も『マルディグラ』に出たらひときわ目立ちそうな3人のドラッグ
クィーン。夜ごとド派手なステージで観客を沸かせている3人ですが、化粧を
落とせば生身の人間。それぞれに人生があり悩み・苦しみを抱えています。

お話は、バイセクシャルのミッチ(『マトリックス』のエージェント・スミス役、H・ウ
ィーヴィング!!)に1本の電話がかかってくるところから始まります。
電話の主は元妻。元妻はオーストラリア大陸の真ん中あたりにある町アリス
スプリングスのホテルでマネージメントの仕事をしていて、そのホテルで
ショーをしてくれないかと依頼してきたのです。

ある思いを秘めて仕事をOKしたミッチは、恋人を亡くしたばかりのベルナデッド
(『コレクター』のT・スタンプ!!当時55歳!)とステージの相方フェリシア
(『メメント』のG・ピアーズ!!)を誘って、中古のバスで旅に出ます。
目的地までの距離3千余キロ。さすがにオーストラリアは広い!
その旅で、3人は様々な出会い、別れ、挫折を経験します。けれど、決して
日本映画のように陰湿にならないのは、途中でピンクに塗り替えられたバス
に象徴されるようにスクリーンがカラフルに彩られているからでしょうか。
それとも、彼女たちの歌と踊りに日陰を日向に変えるパワーがあるから?

この作品に限らず、『性同一性障害』を扱った作品には人を惹きつける何か
があります。なぜ魅力を感じるのでしょう。
その要因のひとつは、誰もが持つ『変身願望』を刺激するところにあるのかも。
フロイトと並ぶ深層心理学の大家ユングは、
「人は誰でもペルソナ(仮面)をつけて暮らしている」といいます。
『ペルソナ』とは、簡単に言えば、生きるのに都合がいいように自分でつくり上
げた『外面(そとづら)』のこと。
自分でつくり上げたものなのに、それが顔に貼り付いて取れなくなっちゃうと
息苦しくなります。人間、たまには別のペルソナをつけたくなるのです。
それを一時的に可能にしてくれるのが“化粧”です。
個人的な思い出ですが、20代の頃、お祭りに参加するのに派手なメイクを
してもらったことがあります。最初は気恥ずかしかったんですが、そのメイクの
おかげで普段の自分では考えられないくらい大はしゃぎしたことを覚えてい
ます。そして、鏡に映る変身した自分の顔を見てうっとりしたことも・・・(' ';)。
そういう経験は、化粧経験豊富な女性なら誰もがしていることでしょう。
見た目が変わると、人間って気持ちも変わるもの。
化粧をすることで、心の中に抑圧していた何かが表に出てくるのです。
ってことは、自分がどんな感情を抑圧しているか知りたければ、化粧をすれば
いいってことかな(コスプレもいいかも)。

“彼女”たちは、ド派手なメイクと衣装を身につけることによって、抑圧していた
ものを大放出できている。そういう彼女たちを見ていると、カタルシスを覚えるし、
なんだかうらやましくもなっちゃうんでしょうね。
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by kiyotayoki | 2004-09-24 09:32 | 映画(は行)