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映画の心理プロファイル

『フォーリング・ダウン』(1993 米)

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原題:『FALLING DOWN』(118分)
監督:ジョエル・シューマカー
出演:マイケル・ダグラス
    ロバート・デュヴァル
    レイチェル・ティコティン
    バーバラ・ハーシー

このところゲイの映画ばかり取り上げていて、そっちの趣味があると思われると
いけないので(まだ取り上げたい秀作はあるんですが)、今日は前回の
『フローレス』や『フォーン・ブース』と同じ監督が撮った作品のご紹介です。

「人は誰でも狂気を秘めている」
これは、ある精神科医の言葉です。
最近、理不尽な事件を耳にするたびに、この言葉を思い出します。
普段、私たちは狂気を心の奥底に押し込めて、正常を装いながら日常生活を
送っています。けれど、その狂気はちょっとしたことがきっかけで顔を出すこと
があるです。

このお話の主人公ビル(M・ダグラス)の場合もそうでした。
きっかけは“猛暑”と“交通渋滞”。遅々として進まない車の列。
いつもなら、グチをこぼしながらも我慢してハンドルを握り続けていたでしょう。
けれど、この日は違いました。怒りを爆発させたビルは後続の車が迷惑する
のもお構いなしに車をその場で乗り捨て、徒歩で目的の地へ向かいます。
目的地は別れた妻と娘の住む家。この日は娘の誕生日で、ビルはプレゼント
を届けようとしていたのです。
遅れる事情を妻に話そうと電話ボックスに入りますが、あいにく小銭がなく、
ビルは近くの食料品店へ。店主が両替はお断りというので、50セントのジュー
スを買っておつりをもらおうとすると、店主は横柄な態度で「うちは85セントだ」。
その言葉にまた怒り爆発(電話をかけるには25セント必要なんですね)。
店主の護身用のバットを奪い取ると、ビルはそれで店の陳列棚をぶち壊し、
1ドルをたたきつけレジから50セント取り出すと、
“どうだ、これで文句はないな”という顔で店主をねめつけて店をあとにします。

その後も万事この調子。自分の意にそわないことがある度にビルは怒りを
爆発させ、まわりのものを破壊していきます。そして、その度ごとに相手から
武器を奪取。その武器は、バットから始まって、ナイフ、マシンガン、ついには
バズーカ砲へとどんどんスケールアップ。つまり、どんどん社会にとって危険な
男になっていくのです。

話が進んでいくうちに、ビルという男の素性もわかってきます。
平凡なサラリーマンに見えたビルは、実は1ヶ月前に会社をクビになっており、
妻には逃げられ、危険なので子どもにも会わせてもらえないことなどなど。
ビルがぶちキレたのは、どうも今回が初めてではなかったようなんです。

ビルのように心が正常でなくなり、歪んでしまった人には、精神科医なら
『妄想性人格障害』という診断を下すことでしょう。
この人格障害の特徴は、猜疑心が強く人を信用しない。他人が自分をだます
のではないか、危害を加えるのではないか、といった妄想がいつも頭の中を
飛び交っている。一方で優越意識も強く、傲慢不遜なところも。
まさにビルがそうでした。
ひょっとしたらあなたの周りにも、この特徴を備えた人がいるかもしれませんね。
「人は誰でも狂気を秘めている」のですから、当然なのかもしれませんが・・・。

誰もが秘めている狂気。それが顔を出したとき、さてどうなるか・・・。
この映画はその恐怖を描いているのです。
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by kiyotayoki | 2004-09-27 11:12 | 映画(は行)