映画の心理プロファイル

『天国は待ってくれる』(1943 米)

以前から気になっていた映画です。
というのも、ブルース・ウィリス主演のサスペンス映画『ホステージ』(2005)の中で
この映画が重要な役割を果たしていたから。
正確にいうとこの映画のDVDのパッケージなのだけれど、中に重要な機密資料の入ったディスクが隠されていて、
その争奪が事件の山場になっていたのです。
そこでもネタとして使われていたのだけれど、この映画の原題『HEAVEN CAN WAIT』をタイトルにした映画には
もう一本『天国から来たチャンピオン』(1978)があるので、ちょっと紛らわしいのだ(^^ゞ

a0037414_14523225.jpg

原題:『HEAVEN CAN WAIT』(112分)
監督:エルンスト・ルビッチ
原作:ラズロ・ブッス=フェテケ
脚本:サムソン・ラファエルソン
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演:ドン・アメチー
   ジーン・ティアニー
   チャールズ・コバーン

エルンスト・ルビッチ監督の、最初で最後のカラー作品なのだそうな。
ルビッチ監督というと、ハリウッド喜劇の礎を築いた人ってことぐらいしか知らなかったし、
作品も『ユー・ガット・メール』つながりで『桃色の店』を観た程度だったのだけれど、
大好きなビリー・ワイルダーの師匠すじに当たる人だったんだね。
ワイルダー監督は、オフィスに“ルビッチならどうしただろうか?”と書かれた額を飾っていて、
いつも戒めにしていたというのは有名な話らしい。

a0037414_1029848.jpg
お話は、いきなり死後の世界から始まる。
しかも地獄への玄関口のようだ。
死んだ人間は、ここでサタンに最後の申し開きをし、それでも罪が重いと判定されたものは地獄行きとなってしまう。
サタン(役名はHis Excellencyとなっていた)を演じているのは、レアード・クリーガーという役者さん。貫禄のある人だけど調べてみたら、この映画の翌年、31才(!)の若さで亡くなっている。
a0037414_13251225.jpg
a0037414_13255626.gif
そんなところへ、老衰で亡くなった主人公ヘンリー・ヴァン・クリーヴは自らの意志でやってきます。
というのも、自分は地獄行きが当然の人間だと思っていたから。
だけど、サタンは怪訝な顔。
「なぜ君は地獄を望むのかね?」
そう尋ねられたヘンリーは、自分の生い立ちからの罪を訥々と語り始めるのでした。

ヘンリーを演じているのは、ドン・アメチー。左の写真は『コクーン』(1985)に出ていた頃のアメチーさん。僕の知っているアメチーさんはおじいさん俳優だったけど、こんなお若い頃のお姿(⇒)をおがめるとは思わなかった。

お話の内容をシンプルに紹介すれば“女好きな紳士の一生”。
古き良き時代のNYの上流階級に生まれたヘンリーは何不自由なく育ち、結果、女好きでナンパな青年に成長します。
金があって、家柄が良くて、見た目もいいとなったら、モテないはずはない。
だけどそうなると普通の女性じゃ満足できなくなるようで。
ヘンリーが恋をして駆け落ちまでしてしまうのは、な、なんと従兄弟の婚約者マーサ。
しかも、親族が集まってのパーティ会場からの強奪婚!
家名に傷をつけたのだから当然勘当かと思ったら、いつの間にか実家に戻って幸せで贅沢な結婚生活を送ってる。
息子も生まれて順風満帆・・・かと思いきや、妻のマーサが突然家出。
理由はヘンリーの浮気。だけど、その危機も孫思いの祖父の協力を得てなんなくクリアしてしまう。

そんな感じで、自由気ままに年を重ねてきたのがヘンリーという男。
キリスト教では大罪が7つあるとされております。
傲慢、嫉妬、暴食、色欲、怠惰、貪欲、憤怒の7つ。その罪をまあ、色欲を中心にまんべんなく適度に犯してきたのがヘンリーの人生といえるのかも。

さて、この男は本人が言うように地獄行きになるのでありましょうか・・・
なんて問いかけは愚問ですよね。
だってタイトルが『天国は待ってくれる』だもの(^^ゞ。

じゃなぜ、ヘンリーは地獄ではなく天国のエレベーターに乗ることになるのでありましょう。
そこがこの映画のキモ、かな。

男には都合のいい結末ではあるけれど、
それだけにほろ苦い思いにさせられる映画でもありました。

a0037414_22324188.jpg

[PR]
by kiyotayoki | 2010-07-08 22:36 | 映画(た行)