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映画の心理プロファイル

『アザーマン―もう一人の男―』(2008 米・英)

映画『愛を読むひと』の原作『朗読者』の作者であるベルンハルト・シュリンクの
『逃げてゆく愛』という短編集の中の一編を映画化したもの。
出演陣はリーアム・ニーソン、アントニオ・バンデラス、そしてローラ・リニーと演技派ぞろい。
監督は『あるスキャンダルの覚え書き』(2006)のリチャード・エアー、
というのでちょっと期待して観た。

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原題:『THE OTHER MAN』(87分)
監督・脚本:リチャード・エアー
原作:ベルンハルト・シュリンク
音楽:スティーヴン・ウォーベック
出演:リーアム・ニーソン
   アントニオ・バンデラス
   ローラ・リニー

リーアム・ニーソン主演の映画には『ダークマン』(1990)という異形のヒーロー物があるけれど、
こちらの“アザーマン”はスーパーヒーローではありません。
アザーマン(もう一人の男)のタイトルが意味するのは妻の、もう一人の男、つまり、愛人のこと。

英国のケンブリッジに住むIT企業家のピーター(リーアム・ニーソン)は、
有名な靴デザイナーの妻リサ(ローラ・リニー)と結婚して25年。アビゲイルという娘(ロモーラ・ガライ)もいる。
円満に思えた夫婦だったが、ある日ピーターはリサ宛に来た見知らぬ男からのメールを読んでしまう。
妻は“レイフ(Ralph)”という名の男(アントニオ・バンデラス)と長年浮気をしていたのだ。
その上、妻のPCにはレイフとの淫らな写真まで隠されていた。
自分には見せたことのない妻の艶やかな表情に憤ったピーターは、
妻のふりをしてレイフに返事を送り、男のいるミラノへ旅立つのだった。

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男は女の4分の1。
この数字は何か?
実は「カンの鋭さ」が男は女の4分の1しかないというんです。
ドイツのある研究所が発表したものなのだけれど、逆にいうと女は男の4倍もカンが鋭い。
だから、女房は亭主の浮気にすぐに気づいてしまうのだけれど、男はどうもその辺りのカンが働かない。鈍い。
そのせいか、男が気づいた時にはもう収拾がつかなくなっていることが多い。
熟年離婚が増えている昨今、長年連れ添った妻に突然「別れましょう」と切り出されて青くなってる中年男性が続出しているのも頷ける数字ですよね。

ピーターもまさにその典型例で、長年続いていた妻の浮気にまったく気づいていなかった。
それだけに、驚き、怒り、嫉妬の念は尋常じゃなかった。
しかし、そこは理系のピーター。相手を完膚無きまでに叩きのめすためにはまず相手を知らねばと、
チェス好きなレイフが通う碁会所のような場所に出没して、チェス仲間として知り合うことに成功する。

知り合ってみてわかったことは、レイフという男が自分とはまるで対極の存在であること。
ファッションに気を使う伊達男で、口がうまくて遊び好きで女好き。しかも、よく聞いてみると、女にたかって生きてきた詐欺師であることがわかってくる。
妻はなぜこんな男に???混乱するピーター。

このあと、物語はちょっと意外な展開を見せていくのだけれど、これ以上はネタバレになってしまうので自重。

ただ、なぜピーターは妻のプライベートなパソコンメールを見ることになったのか。
なぜ、浮気のことを妻に直接問いたださないのか。
その理由が明らかにされてから、我が身に置き換えてかなり重苦しい雰囲気になっていったことは確かでありました。

果たして僕は、亡き妻のことをどれくらい理解していたのだろう・・・と。

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by kiyotayoki | 2010-07-18 12:31 | 映画(あ行)