『パッセンジャーズ』(2008 米)
これは心理学用語ではなく、マジック用語。
「誤導」と訳されている。
観客を誤った方向へ導いていく、つまり真実から遠ざけることで、
あたかも不思議なことが起きたように思わせてしまうテクニックのこと。
マジックの基本とされるものだけど、この映画もミスディレクションが随所にちりばめられ、ミステリー度を高めておりました。
原題:『PASSENGERS』(93分)
監督:ロドリゴ・ガルシア
脚本:ロニー・クリステンセン
音楽:エド・シェアマー
出演:アン・ハサウェイ
パトリック・ウィルソン
デヴィッド・モース
飛行機事故から奇跡的に生き延びたパッセンジャーズの心のケアを受け持つことになった
女性セラピストが経験する奇妙な出来事を綴った物語。
セラピストのクレアは夜中に恩師からの電話で呼び出され、
旅客機の墜落事故で奇跡的に生き残った5人の男女のカウンセリングを担当することになる。
ショックで呆然とする生存者が多い中、エリックという男性だけは妙に機嫌がいい。
しかも自分のコーヒーの好みから姉の存在まで言い当てる。
事故のショックで躁状態になるケースはあるけれど、ESPの能力まで開花することがあるのだろうかと首を傾げるクレア。
気になることはまだあった。航空会社は「パイロットの過失」と公式発表しているのだけれど、
生存者達の記憶は「墜落の前に爆発があった」「いや、なかった」などと食い違っている。
しかも、何者かに監視されているようだ。
そんな中、生存者たちが1人ずつ行方不明になっていく。胸騒ぎを覚えるクレア・・・。
・・・・と、お話は静かに、けれどサスペンスタッチに進んでいく。
そこにミスディレクションがちりばめられているのだけれど、
どこにどういうミスディレクションが仕掛けられているかを書くとネタバレになってしまう。
そこがこの手の映画のレビューを書く難しさかな(^^;
ミスディレクションが仕掛けられていることは、途中でだんだんわかってきて、
なんだその手できたのかと思ってしまうのだけれど、とはいえしみじみと浸れるラストが用意されているので後味は悪くありませんでしたよ。
そうそう、監督のロドリゴ・ガルシアは、ノーベル賞作家ガルシア・マルケスの息子さんなんだとか。