映画の心理プロファイル

『リトル・ダンサー』(2000 英)

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原題:『BILLY ELLIOT』(110分)
監督:スティーブン・ダルドリー
出演:ジェイミー・ベル
    ジュリー・ウォルターズ
    ゲアリー・ルイス
   ジェイミー・ドレイヴン
    アダム・クーパー

ギリシャ神話に、ピグマリオンというキプロスの王様の話があります。
彫刻が得意だったピグマリオンは、あるとき、自分がつくった象牙の女性像があまりにも素晴らしい
できばえだったので、その女性像に恋をしてしまった。
そこでなんとかしてその像を人間に変えたいと必死に願い続けた。
その純な願いを女神アフロディテが聞き届けてくれて、女性像は美しい人間の女性に変身。
おかげでピグマリオンはめでたく愛する女性と結婚することがでましたとさ・・・・というお話。
このお話にちなんだのが『ピグマリオン効果』という心理現象。
これは、「可能性を信じて期待していると、相手がその期待に応えるようになる」
というもの。

この映画の主人公、11歳のビリー・エリオット(J・ベル)も、
可能性を信じて期待してくれた先生と父親がいてくれたおかげで、バレエダンサーとしての才能を開花させた少年でした。

お話の時代設定は1984年。炭坑ストに揺れるイギリス北東部の小さな町が舞台(調べてみたら1984年2月から翌年の3月まで、1年余りも続いた炭坑ストは英国の戦後史に残る大事件だったようです)。
前の年に母親を亡くしたビリーは、一本気の父(G・ルイス)と年の離れた兄トニー(J・ドレイヴン)、
そして近頃かなりボケてきたおばあちゃんの4人で暮らしていますが、生活は楽ではありません。
というのも父と兄は共に炭坑夫でストを主導する立場だったから。
冷や飯食いが続く毎日。それでも父は毎朝ビリーに50ペンス硬貨を渡すことは忘れませんでした。
お小遣いではありません。ビリーはボクシング教室に通っており、それが1日の料金だったのです(きっと1ヶ月分まとめては払えなかったんでしょう)。
息子が男らしい男になるためなら、他を切り詰めてでも金は出す。そんな父でした。

ところがビリーが興味を示したのは、ボクシングではなくバレエ。同じ体育館でレッスンしていたのです。
でも練習しているのは全員女の子。参加するには抵抗がありました。
それがひょんなことから参加することになり、レッスンを受けていくうちにどんどん病みつきに・・・・。
もちろん家族には内緒。父親に知れたら大目玉を食らうことはわかりきっていましたから。
そのうちに最初はみんなに平等に教えていた先生(J・ウォルターズ)がだんだんビリーにつきっきりで教えるようになります。
先生がビリーの才能に気づき始めたんですね。そしてある日、「ロイヤル・バレエ団のオーディションを受けてみない?」
先生としても、素人の自分が教えるより専門家に指導してもらったほうがビリーのためだと思ったのです。
自分の才能に自信の持てないビリーに先生はこう言います。
「バレエの技術は学校に入ってから学べばいい。感情のままに踊れる、それが才能なのよ」
なかなか言えるセリフじゃありません。
そんな先生に恵まれたからこそ、『ピグマリオン効果』が働いてビリーもやる気になったんですね。
でもまだビリーには難関が待っていました。昔気質の父をどう説得するかです。
さあ、ビリーは父親を説得できるでしょうか。
この父親役のゲアリー・ルイスがとてもいい味だしてます。
もちろん主演のジェイミー・ベルも素晴らしい。“ひとりウォーターボーイズ”と化してワルツ&タップをたっぷり披露してくれます。
80年代のロックを使った音楽もいいし、地味だけどおすすめの映画ですよ!
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by kiyotayoki | 2004-10-02 09:32 | 映画(ら行)