映画の心理プロファイル

『タイタニック』(1997 米)

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原題:『TITANIC』(189分)
監督・製作・脚本:ジェームズ・キャメロン
出演:レオナルド・ディカプリオ
    ケイト・ウィンスレット
    ビリー・ゼイン
    キャシー・ベイツ他

この映画、当サイトでは2度目の登場ですが、
地上波でやっていたのを見たら、この作品にも『飛び降り自殺を止める』シーンがあったんですね。
自殺志願者はローズ(K・ウィンスレット)。
止めるのはジャック(L・ディカプリオ)。
ローズが初めてジャックという存在を知ることになるシーンです。

大嫌いな婚約者カル(B・ゼイン)と母親に辛く当たられたローズは、
すべてがイヤになってタイタニック号の船首から飛び降りようとします。
たまたまそれを見つけたジャックは、「やめるんだ」と言いながらローズのそばへ。
でも、やめそうにないローズを見てジャックは方針転換。
ジャックってホントに臨機応変のきくヤツです。やおら自分の靴や靴下を脱ぎ始めると、こう言うのです。
「飛び込むんなら、俺もそのあとからついて行く」
「馬鹿言わないで。死ぬわよ」
「覚悟してるよ。でも水は相当冷たいぜ。俺はそっちのほうが心配だな。
俺、凍った湖に落ちたことがあるんだ。その冷たさったらなかった。体中を
ナイフで刺されたような激痛が走るんだ。息もできないし何も考えられない。
ただ苦痛を感じるだけ。だからホントはイヤだけど、キミが飛び込むんなら、
俺、つき合うから」
「あなた、どうかしてるわ」
「みんなにそう言われる。でも身を投げるなんて君もどうかしてるよ」
その最後の言葉がきいたのか、ローズは飛び込まない選択をすることになります。

実際、心理学的に見ても最後の言葉がかなり効いてるんですね。
諺に『人のフリ見て我がフリ直せ』というのがありますが、これって対人心理学的にみてもなかなかの名言なんです。
というのは、ボクたちって他人のフリ(例えば、アホらしい振る舞い)はよく見えるから分析もできるし
批判もしますが、自分のこととなるとまるで見えなくなっちゃう。
恋愛などで、他人が見たらアホかと思うことを平気でやらかすのは自分が見えていないせい。
『人のフリ見て我がフリ直せ』というのは、人の変な行動を見て、じゃ自分はどうなんだろう、
変なことをしていないか冷静な目で見直してみようと言ってるんですね。
心理学では、そんな風に冷静な目で自分を見つめている状態を“自己意識が高まった”状態といいます。

ローズはジャックの行動を見て「どうかしてる」と思った。他人のことだから、よく見えるんですね。
するとジャックは「君だってどうかしてるよ」と言い返します。
その言葉で、そうか自分もジャックと同じくらい“どうかしてる”行動をとろうとしてるんだな、と気づかされたわけです。
つまり自己意識が高まって、自分の行為を冷静な目で見ることができるようになったということ。
〈きゃっ、私ったら何てバカなことをしようとしてるの?!〉
そう思った。だからローズは飛び降りるのをやめたんてすね。

けれど、運命とは皮肉なもので、結局は2人して冷たい海に飛び込むことになります。
そしてジャックが言っていた“体中をナイフで刺されたような激痛”を味わうことに。
けれど“何も考えられなくなる”は間違いだったようです。
だってジャックは最後の最後までローズのことを考え、励まし続けていたのですから。
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by kiyotayoki | 2004-10-02 22:48 | 映画(た行)