映画の心理プロファイル

『CUBE』(1997 加)

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原題:『CUBE』(91分)
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ
出演:モーリス・ディーン・ウィン
    ニュール・デ・ボア
    デヴィッド・ヒューレット
ニッキー・ブァダーニ

かつて大ヒットしたおもちゃにルービック・キューブというのがありましたが、
この映画の作り手もきっと子供の頃、あれで遊んでたんじゃないでしょうか。
「でっかいルービック・キューブがあって、その中に人が閉じ込められたどうなっちゃうだろ」って発想から生まれたような作品ですもん、これ。

お話は、謎の巨大立方体CUBEに閉じこめられた6人の男女の脱出劇を緊迫感みなぎる演出で不条理感たっぷりに描いていきます。

恐いのは、6人が6人とも目が覚めたら、なぜか10畳間ほどの立方体の部屋に閉じ込められており、
なぜ今自分がこんなところにいるのか、またどうやって拉致されたのかという記憶もないということ。
しかも、目覚めた時はひとりっきり。閉所恐怖症の人にはつらい状況です。

無機質で閉塞感の強い立方体の部屋から脱出するには、
6つの壁の中央にある扉のどれかを開けて抜け出せばいいのだけれど、抜け出てもそこは元いた部屋と同じ造り。
いや、正確には同じではありません。いくつかの部屋には殺人トラップが仕掛けてあり、へたに入ると死ぬ危険があるのです。
しかも、立方体の部屋は、まるでルービック・キューブをガチャガチャやるように移動する仕掛けになっているので、
逆戻りしても、そこが元いた部屋とはかぎりません。
一体どう辿っていけば出口に出られるのか皆目見当がつかないのです。
そんなCUBEの中に閉じ込められた人たちは、部屋を巡っていくうちに1人また1人と偶然出会っていき、結局6人に・・・。

扉の縁に書かれた暗号めいた数字や、6人の中に外壁の設計を担当した男がいたおかげで、
少しずつCUBEの謎と脱出法が解明され始めますが、
その間にも、部屋に仕掛けられた殺人トラップ、そして、
自分以外の人間に対する不審感や疑心暗鬼によって、1人また1人と犠牲者が出てきます。
さて、彼らに明日という日はやってくるのでしょうか。

フロイトは、人の心には「エス」と「自我」、「超自我」の3つの要素があって、
それらが影響しあって人格を形成しているといいます。
中で、理性や道徳観を司るのが「超自我」。
でも、このお話のような極限状態に置かれた人間は、「超自我」が働かなくなってしまいがち。代わりに突出するのが「エス」です。
「エス」は本能や欲望。それが前面に出てくるのですから、互いに相手のことが信じられなくなったり、攻撃的になるのは当然なのかもしれません。

この映画を見て、ある有名な逸話を思い出しました。
ニューヨークのブルックリンにある動物園に、世界で最も凶暴な動物がいるというので見に行った人の話です。
そのオリの前に行ってのぞき込んでビックリ。
中にいたのは自分だったからです。実は、鏡に映った自分だったんですけどね。
つまり、世界で最も凶暴で危険な生き物は人間だということです。


  
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by kiyotayoki | 2004-10-08 09:50 | 映画(か行)