映画の心理プロファイル

『気狂いピエロ』(1965 仏・伊)

9月初めに『トイストーリー3』を観て以来、映画館には足を運べずにいたのだけれど、
昨日、やっと3ヶ月ぶりに映画を観てまいりました。

何にしようか迷った末、名作なのに今まで観たことがなく、
しかも映画館じゃなきゃ丸ごと観るのに苦労しそうな映画をチョイスしてみた。
それがコチラ。

a0037414_9132063.jpg

原題:『PIERROT LE FOU』(109分)
監督・脚本:ジャン・リュック・ゴダール
原作:ライオネル・ホワイト
音楽:アントワーヌ・デュアメル
出演:ジャン=ポール・ベルモンド
   アンナ・カリーナ 

丁度今日(12月3日)で80歳になるゴダール監督の最新作『Film Socialism』がまもなく公開されるのを記念して
今、日比谷でやっている「ゴダール映画祭2010」の目玉のひとつとして上映されているのがこの『気狂いピエロ』。

若い人に「気狂いって“きぐるい”?」と訊かれたけれど、これは“きちがい”って読んじゃってほしい。

僕の席の左隣りには60代と思しきご夫婦、右隣りには20代のカップルが座ってた。
60代のカップルはゴダールが注目された頃に青春時代を過ごしたど真ん中世代。
若い頃を思い出しながらの鑑賞だったんだろうか。
一方、20代のカップルのほうは、彼女に付き合わされたのか、彼氏のほうは始まった途端に爆睡(^^;
ラスト近くになって、やっとゴソゴソし始めたけど、映画館から出た後、彼女にどんな感想を言ったんだろ。
居直って、「あ~、よく寝た」・・・かな(^^ゞ

僕はというと、人のことをとやかく言えませんね、時々襲ってくる睡魔に抗いながら、なんとか最後まで鑑賞(;^^a
ゴダール監督らしい風変わりな映像詩といった感じの作品で、ストーリーはあるようでないし、
しかも一見サスペンス風だけど案外淡泊でのんびりしているので、気を抜くと瞼が落ちそうになってしまうのです。
やはり映画館で観て正解。家で観ていたら、きっと途中で辛抱たまらず別のことをしたくなちゃったっただろうから。

a0037414_23113522.jpg

若い時ならいざ知らず、既成の映画文法にどっぷり浸かってしまっている今、
こういう自由過ぎる作品を見ると、観てるあいだ中、違和感を引きずってしまう。
その違和感を心地よく感じるか否かで、作品への評価は180度違ってしまうんだろうな。

個人的には、『勝手にしやがれ』の時には感じられた心地よさをこの作品では感じられなかったな、残念ながら。

その原因のひとつは、ジャン=ポール・ベルモンドが演じたフェルディナンに共感できなかったからだと思う。
『勝手にしやがれ』(1959)の彼はすこぶる魅力的だった。
まあ、あの時の彼は20代半ばで、粗野でありながらガラスのような繊細さを合わせ持つその魅力が役柄にぴったりハマってたんだけど、それから6年、30代になったベルモンド、まだ十分若いんだけど、なんか違うんだな。

フェルディナンは、かつての才気溢れていた頃の自分に戻ろうと抗う男。
そのために勤めていたTV局も辞めてしまい、家族も捨て、
5年ぶりに出会った奔放な女マリアンヌ(アンナ・カリーナ)に導かれるままパリを飛び出してしまう。
独りよがりで突飛な行動をとるところは『勝手にしやがれ』の主人公と同じだけど、
その上に頭でっかちで、過去の自分に未練たらたら。絶対友達にはしたくないタイプなんだなぁ。
そんな役柄がベルモンドには似合わない気がした、というのが正直な感想。

当時、まだゴダール監督の奥さんだったアンナ・カリーナはとても美しかったけれどね。

a0037414_10355487.jpg

それでも、この映画が映像作家を志す人たちに多大なる影響を与えたであろうことは実感できた。
その意味では、やはり見逃せない1本なんだろう。


個人的に気になったのは、フェルディナンとマリアンヌが着の身着のままでパリから逃げ出す時に
わざわざ持ち出した大判の漫画本。
ビエ・ニクレというフランスでは有名な漫画らしいけど、一度読んでみたいな。

a0037414_10513441.jpg

[PR]
by kiyotayoki | 2010-12-03 10:54 | 映画(か行)