映画の心理プロファイル

『センチメンタル・アドベンチャー』(1982 米)

クリント・イーストウッド監督作には“死”をテーマにした作品が多い。
主人公の死に様を通して
いかに生きるべきかをスクリーンのこちら側に問いかけてくる。
これはその端緒となった映画かもしれないな。

a0037414_15484257.jpg

原題:『HONKYTONK MAN』(123分)
監督:クリント・イーストウッド
原作・脚本:クランシー・カーライル
音楽:スティーヴ・ドーフ
出演:クリント・イーストウッド
カイル・イーストウッド
   ジョン・マッキンタイア

原題の『ホンキートンクマン』のホンキートンクって言葉はカントリーソングによく出てくる。
だけど、今までその意味を確認せずにいた。 
で、今更ながら調べてみたところ、源はアメリカの開拓時代までさかのぼるんだね。
西へ西へと向かう開拓者たちの中には、家財道具と一緒にピアノを運んでくる人もいた。
ガタガタ揺すられるから、当然チューニングが狂う。
だけど、調律師がいるわけじゃないから、酒場などで調子っぱずれのまま弾かれていた。
それが独特の味のある音と評価されるようになって、わざと音をずらしたホンキートンクピアノができたり、ホンキートンクというジャンルの楽曲ができたというんだね。
ラグタイムも、初期はホンキートンクピアノから生まれた音楽ジャンルだったのかも。

この映画では、このホンキートンク(マン)を調子っぱずれな人生を歩んできた男という意味で使っているんだろうか。
1998年にイーストウッドがフランスのセザール賞を受賞した時、
プレゼンターとなったジャン=リュック・ゴダールは「ミスター・ホンキートンクマン」と呼びかけたそうだし、
このタイトルにはイーストウッド自身の人生も投影されているのかもしれないね。

a0037414_11475654.jpg

イーストウッド扮する主人公は、歌とギターと酒をこよなく愛するカントリー・シンガーのレッド。
だけど、結核を患っていて、体調がすぐれないし声も出づらくなっている。それをなんとか酒でごまかす日々。
そんなレッドが一念発起、というより死に花を咲かせようと思ったのか、
カントリーの聖地ナッシュビル“グランド・オール・オープリー”のオーディションに出るために旅に出る。
このグランド・オール・オープリーがカントリーシンガーの憧れの場所だということは、
カントリーバンドを50年やってる叔父からも聞いたことがある。

旅の道連れは、妹夫婦の息子。レッドからすると甥っ子にあたるホイット。
ホイットを演じているのはイーストウッドの実の息子カイル・イーストウッドだ。
撮影当時は、12、3才だったのかな。
この親子共演をイーストウッドが監督として実現させたのは、
どんなホンキートンクな人生だって自分が納得できる人生ならそれでOKさ、という父からのメッセージを
思春期を迎えた息子へ、言葉ではなく肌で伝えたかったからかもしれないな。



[PR]
by kiyotayoki | 2011-02-27 11:04 | 映画(さ行)