映画の心理プロファイル

『グロリア』(1980 米)

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原題:『GLORIA』(121分)
監督・脚本:ジョン・カサベテス
音楽:ビル・コンティ
出演:ジーナ・ローランズ
    ジョン・アダムス
    バック・ヘンリー
    ジュリー・カーメン

『レオン』といえば思い出すのは、やはりこの作品。
『レオン』の原型(雛形)のような映画ですものね。
創作は模倣から始まるといいますし、これも“あり”だと思います。

オープニングが空撮から入るところがまず同じ。ただ、『レオン』は空撮のカメラ
がうっそうとした森(セントラルパーク)から摩天楼へ向かうのに対し、『グロリア』
は海から摩天楼へ向かって行きます(主人公が女性ですから、大母のイメージ
である海から入るのは妥当な線かも。『レオン』のほうも、森がレオンという男
の心の闇を表しているようでGOOD)。

いきなり、アパートメントで1人を残して家族が惨殺されてしまうところも同じで
す。ただ、『レオン』で生き残るのは12歳の少女マチルダ。こちらは6歳の男の
子フィル(J・アダムス:どうやら映画はこれ1本だけだったようですね)。
それを助けるのは、前者は中年男レオンで、後者は中年女グロリア(G・ロー
ランズ)。前者は殺し屋で、後者はマフィアのボスの元情婦です。
そして2人の命を奪おうと追いかけ回すのは、前者は汚職警官、後者はマフィ
ア。前者はいわば表社会の支配者で、後者は裏社会の支配者。
どちらも巨大な権力とパワーを持っていますから、それに尻をまくるのは骨です。
そういう連中を相手にするのですから、レオンもグロリアも苦労の連続。

とはいえ、庇護する者とされる者の性別を取り替えたことで、テイストはかなり
違った作品になっているのは確か。また同じニューヨークが舞台になっていても、
さすがにNY出身のカサベテス監督とフランス出身のベッソン監督が撮るのとで
は街とそこで生きる人々の雰囲気や描き方がまるで違います。
だから設定は似ていても、どちらも別個の作品として十分堪能できます。

グロリアを女だからといってなめてはいけません。
「グロリア、あんたはすごい。タフでクールで・・・・やさしいよ」
これが公開時の宣伝コピーらしいけど、まさに男が舌を巻くタフさで、様々な
危機を乗り越えていきます。なめてかかった男達はことごとく、グロリアがぶっ
放す拳銃の弾の餌食に。
しかも夜はちゃんとバスタブで疲れを癒し、ボストンバッグに詰め込んだ服の
しわ伸ばしを忘れません。そして前日と同じ服は決して着ないという女らしさ
も忘れないんですから大したもの。

でも、グロリアも生身の人間です。マフィアの掟を熟知している彼女のこと、
その連中にたてをつくことの恐ろしさは彼女自身が一番よく知っています。
そんな彼女の精神安定剤はきっとタバコだったんでしょう。とにかくよく吸って
ましたから(レオンの精神安定剤は観葉植物だったんでしょうね)。
大詰めで、死地に出向き、マフィアのボスと対峙したときも、彼女はゆっくりと
時間をかけてタバコを吸っていました。

ここ一番という時、あなたはどうやって心を落ち着かせますか?
いろんな方法がありますが、クロリアのように習慣になっていることをすると
いうのもいい方法。また、きっとグロリアもそうしたでしょうが、身近なものを
手にするというのも心を落ち着かせるいい方法です。グロリアも手に馴染んだ
ライターを握りしめていたはずです。
そうやって心を落ち着かせたグロリアは、ある決断をして席を立ちます。
さて、グロリアは死地から生還することができるでしょうか・・・・。
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by kiyotayoki | 2004-10-24 09:48 | 映画(か行)