映画の心理プロファイル

『ぼくの美しい人だから』(1990 米)

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映画を観ていて、登場人物の背景に何気なく映っている物が気になることがよくある。
この映画だと、玄関ドアのガラス窓に貼ってあったこのシールかな。
S.S.D.D.
Same Shit, Different Day
    
「この標語みたいなのは何だろ???」って。

これ、スラングなんだろうけれど、
「日が替わっても、くそったれなのは同じ」とでも訳すのかな。

調べてみたら、「くそったれな毎日。変わるのは日付だけ」と訳しているのもあった。
スティーブンキングの小説『ドリームキャッチャー』によく出てくる表現らしい。
日付が替わるだけで毎日がクソ(最低)なのは変わらないって、諦めにも似た気持ちが表現されているんだろうな。
そんなシールを貼っている家の主が、スーザン・サランドン扮するこの映画のヒロイン。
彼女がどんな暮らしをしているかは推して知るべしということでありましょう。

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原題:『WHITE PALACE』(103分)
監督:ルイス・マンドーキ
脚本:テッド・タリー アルヴィン・サージェント
音楽:ジョージ・フェントン
出演:スーザン・サランドン
   ジェームズ・スペイダー

原題の『WHITE PALACE』は、主人公のノーラがパート勤めしているバーガーショップの名前。
43才で独り身、酒と煙草が手放せない典型的なプアホワイト(ホワイトラッシュ)だ。まさにS.S.D.D.な毎日。
そんな彼女と一夜を共にすることになるのは、27才で独り身、ユダヤ系のリッチなエリート広告マン、マックス。
普通に暮らしていたら、出逢うことも、ましてや恋仲になることもなかった2人が
衝動的にSEXをしてしまうところから物語は始まる。
こういう場合、フツーは男のほうから仕掛けるのだけれど、
酔った勢いで強姦まがいにメイクラブを始めるのがノーラのほうだというところが、2人の関係性を象徴しておりました。

2人とも過去の心の傷を引きずって暮らしているのだけれど、
特にノーラ(本名ノーラ・ベイカー)は、名前が似ているということもあって自分とマリリン・モンロー(本名ノーマ・ジーン・ベイカー)の生き方(幸の薄さ)に共感、同一視しているところがある。
そのせいもあって、彼女の部屋の中はマリリンのポスターやグッズでいっぱいだ。

そんな43歳の女を、当時ほぼ同じ年齢だったスーザン・サランドンがリアルに演じてる。
彼女、この後が『テルマ&ルイーズ』なんだな。
以前、『テルマ&ルイーズ』で彼女はひと皮剥けたって書いたけど、訂正しなきゃ。
この映画出演が彼女の女優人生のターニングポイントになったんだなと実感いたしました。

そうそう、ジェームズ・スペイダー扮するマックスの車は、片方のライトがずっと壊れたまんま。
それは、マックスの心の有り様を表していたのだろう。
S.S.D.D.のシールといい、マリリンのポスターといい、そういう表現方法がお好きなんだな、この監督。


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by kiyotayoki | 2011-05-19 08:52 | 映画(は行)