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映画の心理プロファイル

『光の旅人 K-PAX』(2001 米)

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原題:『K-PAX』(121分)
監督:イアン・ソフトリー
原作:ジーン・ブリュワー
脚本:チャールズ・リーウィット
出演:ケヴィン・スペイシー
    ジェフ・ブリッジス
    メアリー・マコーマック

昨日ご紹介した『グレイスランド』と同じ趣のある“癒し”をテーマにした作品
です。本国では、あの9.11の後に公開されたせいもあり、反響がより大き
かったとか。

初夏のニューヨーク、グランド・セントラル駅。差し込む朝日の中からまさに
“忽然と”という感じで1人のサングラスをかけた男が現れます。
男(K・スペイシー)は、職務質問した警官にサングラスを取れと命じられますが、
「いやだ。あんたの星は明るすぎるから」と答えたため、精神病院へ送られる
はめに。
担当医パウエル(J・ブリッジス)に名前や出身地を尋ねられた男は、
「私はプロート。K-PAXという星からやってきた異星人だ」と答えます。
こんな相手を前にしたら、並みの精神科医ならさっそく『妄想性人格障害』か
『統合失調症』の診断を下したかもしれません。
けれどパウエルは、プロートの理路整然とした語り口や落ち着き払った態度
に、「この男はただの“ただのクレイジー”ではない」と直感します。

実際、プロートは確かに人間離れしていました。
食べるのは果物だけ。しかもバナナもリンゴも皮のまま。また彼の視力は
人間が知覚できない紫外線まで感知できることが検査で判明。
それにどうも犬とも会話ができるようなのです。
そして、宇宙の知識に至っては宇宙物理学者たちが舌を巻くほど。
そんな不思議な存在であるプロートは、病院の患者たちにも影響を与え始め
ます。患者たちは彼を異星人だと信じ、夢も希望もない地球にいるより、K-
PAX星に行きたいと望むようになったのです。
そんな患者たちにプロートはこう言います。
「残念だが、1人しか連れていけないんだ」
その言葉に、患者たちはその“1人”になろうと励み始めます。
プロートは患者達に未来への希望と生きる目的を与えてくれたのです。
プロートは精神科医も顔負けの“心の癒し人”なんですね。

一方、医師パウエルは、プロートの心の奥底に隠された秘密を探ろうと必死
でした。というのも、プロートが7月27日に地球を旅立つと宣言したからです。
パウエルは、何にしても7月27日がタイムリミットだと直感したのです。
果たして、プロートは本物の異星人なのでしょうか、それとも何か重大な
トラウマがあって、それが人格の変容をもたらしてしまっているのでしょうか。

 ※PTSDという言葉、最近日本でもよく耳にするようになりましたが、「心的
  外傷後ストレス傷害」と呼ばれる心の病で、生死にかかわる異常で残虐
  な体験をした人がかかりやすいと言われています。9.11のテロ後、この
  病にかかって今なお苦しんでいる人も多いとか。症状は、人によって様々
  ですが、中には体験したことがトラウマとなって解離性健忘(記憶喪失)や
  解離性同一性障害(多重人格)を発症する人もいるようです。

物静かでいつも笑みを絶やさない不思議な“癒し人”プロートをケヴィン・スペイ
シーが好演、また、難しい判断を迫られて苦悩する医師をジェフ・ブリッジスが
頼もしく演じています。
『グレイスランド』もいいけど、演技の力でいえばこちらの作品のほうが上かも。
でも、できればどちらも見てほしいな。
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by kiyotayoki | 2004-11-03 09:29 | 映画(は行)