映画の心理プロファイル

『ギター弾きの恋』(1999 米)

日曜日、海老会のメンバーのおひとりchiharaさんに誘われて、
ジプシー(マヌーシュ)スウィングバンドのライブを谷中へ聴きに行って来た。
今月初めにジャンゴ・ラインハルトのことを書いたら、
ジャンゴの音楽の系譜を受け継ぐバンドのライブがあると教えてくださったのだ。
バンド名は、Sous son Nuage(スーソンヌアージュ)
2人のギタリストを中心に、バイオリン、コントラバス、クラリネットの5人編成。
場所は、Petticoat Laneという可愛らしいお店で、客席は満席状態。

どの曲も耳に心地いい柔らかな響きなのだけれど、音の強弱にとても気をつかっていて、
ソロのパートの音が力強く際立っていたのが印象的だった。

で、せっかくマヌーシュジャズに親しんだことだし、
ここはジャンゴ・ラインハルトにインスパイアーされて生まれた映画『ギター弾きの恋』を観るしかないと、
ずっと棚に納まったままになっていたビデオを取り出したのでした。

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原題:『SWEET AND LOWDOWN』(95分)
監督・脚本:ウディ・アレン
音楽:ディック・ハイマン
出演:ショーン・ペン
   サマンサ・モートン
   ユマ・サーマン

なぜ、この映画をなかなか観る気になれなかったのかというと、
主演のショーン・ペンが実はやや苦手な部類に入る俳優さんだから。
理由は自分でも判然としないのだけど、ご本人から醸し出される役者としてのアクの強さのせいかも。
この映画でも、最初のうちはその強さにプライドとコンプレックスがやたらと強い役柄が相まって
「うわぁ」と、どん引きしそうになった(ペン主演の『ミルク』も、なので未見です^^;)。
だけど、これもいつもの事なのだけれど、しばらく見ているうちに苦手なはずのショーン・ペンに感情移入していくんだなぁ。
そこがショーン・ペンの上手さというか、演出の巧みさというか。
(なので苦手といいつ結構観てはいるんです、ショーン・ペンの主演作^^ゞ)

舞台は、1930年代のシカゴ。
派手で目立ちたがり屋のエメットは、才能に恵まれたジプシージャズのギタリスト。
口癖は、「俺は天才。世界で2番目に上手いギター弾きだ」。
1番はジャンゴ・ラインハルト(1910~1953)で、その演奏を聴いてエメットは2度とも失神してしまったのだそうな。
一方でエメットは娼婦のヒモという顔をもち、いい女には目がなく、芸術家にありがちな破滅的な毎日を送ってる。
そんなある日、エメットはひょんなことから口のきけない娘ハッティと出会い、次第に本気で愛すようになっていくのだけれど・・・。

プライドも高いがコンプレックスも強い恋愛下手な男といえば、まさにW・アレンの定番キャラクター。
若い頃は自分で演じていらっしゃった。それをここでは自分より25歳も若いショーン・ペンに演らせているせいか、
作風も25年前に戻ったみたいでユーモアと軽みがあって大いに楽しめた。
ウディ・アレンはこういう情けない男の失恋物語を描かせると本当に巧い。
また、ご自分でもジャズバーでクラリネットを吹いていらっしゃるほどだから、
ジャズへの愛も十分に感じられる作品に仕上がっておりました。

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エメットが恋をする2人の女性を演じるのは、
サマンサ・モートンとユマ・サーマン。
特に、口のきけない娘ハッティを演じたサマンサ・モートンって、
どんな役をやってもしっかり自分のものにしている本当に愛すべき女優さんだなと再確認。

自分が捨てたのに、再び愛の告白をしたエメットがあっさりハッティにフラれてしまうシーンは秀逸だった。


「めめしい」という言葉は「女々しい」と書くけれど、
本来なら「男々しい」と書くべきなんだろうなと、
映画を観て改めて思い知った次第です(^^;
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by kiyotayoki | 2011-05-25 10:01 | 映画(か行)