映画の心理プロファイル

『キス★キス★バン★バン』(2000 英)

a0037414_0274776.jpg
原題:『KISS KISS(BANG BANG )』(101分)
監督・脚本:スチュワート・サッグ
出演:ステラン・スカルスガルド
    クリス・ペン
    ポール・ベタニー
    ジャクリーン・マッケンジー
    アラン・コーデュナー

ついでにもう一本、“父と息子”モノの映画をご紹介。
殺し屋家業を引退した男と、32年間世間と隔絶された環境で育った子供の
まま男との奇妙な心の交流を描いたシニカル・コメディです。

主人公フィリクス(S・スカルスガルド)は殺し屋歴25年の超ベテラン。
でも、寄る年波には勝てず、気力体力に限界を感じる日々。
ついに彼は、引退を決意。殺し屋組織の元締めに「後は弟子のジミー(P・
ベタニー)に任せて俺はこの家業から足を洗う」と宣言、ジミーに自分がつけて
いた手帳を手渡します。
『臨終名言集』と名づけられたその手帳には、殺した犠牲者たちが最後に発し
た言葉がすべてメモされていました。案外マメな男なんですね、フィリクスって。
   ※この手帳には人を殺すことによって生じる心の重荷や罪悪感を取り払う
     効果があったのかも。書くことで記憶が外に出る、つまり、忘れることが
     できるからです。心理学では 『消去』といいます。 
けれど組織はすんなり引退させてくれるほど甘くはなかった。元締めは、部下
たちにフィリクス殺害を命じます。もちろん弟子だったジミーにも。

自由になった(と思い込んでる)フィリクスは、さっそく職探しを始めます。独り身
でも金は必要だし、老人ホームで暮らす年老いた父親に仕送りもしなきゃいけ
ない。でも現実は厳しくて、やっと見つかったのは留守宅の子守りの仕事。
それでも報酬に目が眩んで引き受けてしまいます。
ところが、それはただの子守りじゃなかった。依頼主の父親にババと愛称で呼
ばれているのは、心は幼稚園児並みだけど外見は30過ぎの立派な大人の男
(C・ペン:ショーン・ペンの弟!)。息子を溺愛する父は、生まれてからずっと
ババを広い子供部屋の中だけで育てていたのです。

その日からババとの奇妙な生活がスタート。ババは図体の大きい赤ん坊みた
いな奴ですから、手のかかること手のかかること。
頭に来たフィリクスは、自分のペースで子守りをするためババを外に連れ出し
自分のアパートで共同生活を始めます。

外界に触れたことのないババにとっては、すべてが新鮮。青い空を見たのも
初めてなら、その空から落ちてくる雨も、緑の木々も、街行く大勢の人も、
すべてが初めて尽くし。
フイリクスは好奇心のかたまりとなったババに年相応の服を着せ、ミルクの代わ
りにウィスキーの飲み方を教えます。そして、女性という男には欠かせない存在
がいることも・・・・。
その間にも、フィリクスは殺し屋に命を狙われ続けますが、なぜか狙う側が次々
に命を落としていきます。実は、陰で元弟子のジミーがフィリクス暗殺を阻止し
ていたのです。ジミーにとってフィリクスは父親のような存在。どこの馬の骨とも
知れない奴に殺させるわけにはいかないのです。

・・・・と、お話は、年老いた父親とフィリクス、フィリクスとババ、フィリクスとジミ
ーという3組の“父”と“息子”の絆のありようが軽いタッチで描かれていきます。
でもそこはイギリス映画。単なるコメディでは終わらないんですね。
ちゃんと悲劇も用意されています。ただ、見終わる頃には、気分は癒されては
いますけれど。
[PR]
by kiyotayoki | 2004-11-06 00:27 | 映画(か行)