映画の心理プロファイル

『激突!』(1972 米)

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原題:『DUEL』(90分)
監督:スティーヴン・スピルバーグ
原作・脚本:リチャード・マシスン
出演:デニス・ウィーヴァー
    ジャクリーン・スコット
    エディ・ファイアストーン

人間ではなく、40トンのトラックが恐怖の“殺し屋”と化してしまう映画です。
低予算ながらも、『ミステリー・ゾーン』や『ある日どこかで』で知られるリチャード
・マシスンの原作・脚本を、新人スピルバーグ(当時25歳)が類い希な演出力
で傑作と呼ばれるにふさわしい作品に仕上げています。

晴天下のハイウエーを走る赤いセダン。運転しているのはこのお話の主人公、
セールスマンのデヴィッド(D・ウィーバー)。
快調に車を飛ばしていましたが、前方にいかにもノロそうな図体のデカいタンク
ローリーが。排気ガスをまき散らしながら走るタンクローリーは塗装がはげ、
赤錆だらけ。タンクに「FLAMMABLE(火気厳禁)」と横書きがありますから
燃料をたっぷり積んでいるのでしょう。
前方をふさがれてイラついたデヴィッドはアクセルを踏んで一気に追い抜きま
す(あちらのトラックって日本では考えられないくらい胴体が長いので、追い抜く
だけでも一苦労なんですよね)。でも、それが悪夢の始まりとなったのです。

追い抜いたばかりに、この後、デヴィッドはタンクローリーに執拗に追われる
はめになり、恐怖のどん底に陥れられることになります。
日本でも、クラクションを鳴らしたばかりにドライバー同士で喧嘩になり、殺人
にまで発展したという事件を時々耳にしますが、こちらの場合は1トン弱の車
対40トンの巨大タンクローリーですから勝負はハナからついているようなもの。
でも、窮した鼠は猫を噛むこともあります。
追いかけ回され、殺されかけたデヴィッドは、ついに決闘を決意するのでした。

この映画の恐いところは、タンクローリーのドライバーの顔を最後まで見せて
くれないこと。相手の正体がわからないと、人は不安にかられます。その心理
をスピルバーグは上手く使っているんですね。
サングラスをした人って、なんだか気味が悪いですよね。「目は心の窓」という
ように、人は相手の目を見て、その相手が安全な人か、そうでないかを判断
します。ところがサングラスをしてると、それができない。だから不安になり、
気味悪く感じるんですね。
そういえばこの映画、観ているうちにだんだんタンクローリーに人格があるよう
に思えてきます。まるでサングラスをかけた不気味な大男みたいに見えてくる。
だから余計恐いんでしょうね。
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by kiyotayoki | 2004-11-09 09:50 | 映画(か行)