映画の心理プロファイル

『鉄コン筋クリート』(2006 日本)

以前から観てみたかったアニメ映画です。
友人が貸してくれたおかげで観ることがてきた♪


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(111分)
監督:マイケル・アリアス
原作:松本大洋
脚本:アンソニー・ワイントラーブ
音楽:Plaid
声の出演:二宮和也
       蒼井優

エンドロールを見ていてびっくり。
主人公のひとり「シロ」の声は、蒼井優だったんだ!
彼女ってこんな声も出せるんだな。
吹き替えの映画やアニメを観ていて、声を出してる人の顔が浮かぶと
ガッカリしてしまう(例えば『シュレック』の浜ちゃん)のだけれど、
シロの声に関しては、まったくその心配はなかった。というか、蒼井優とはまったく気づかなかった。
それだけ彼女がシロになりきっていたということだろう。
ただ、女性の声なので、映画を見始めてしばらくはシロの性別が男の子か女の子か分からず戸惑ったけれど。

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前から観たかったわりに、予備知識はゼロに近かった(原作の漫画も知らない)ので、
舞台となる混沌とした街“宝町”を鳥瞰図のように空からぐるりと見渡していくオープニングショットから
その独特の映像世界には圧倒的されっぱなしだった。

三丁目の夕日的な懐かしさを醸しつつも、すこぶる非現実的な架空の街「宝町」。
街並みの徹底的な描き込みぶりには、作り手の熱い思いを感じずにはいられない。
そんな街で盗みやカツアゲを働きながらたくましく自活する孤児のクロ(声:二宮和也)とシロ(声:蒼井優)。
そのぶっ飛びぶり(実際ひゅんひゅん飛んじゃう)には地元のヤクザでさえ一目を置くぐくらい。
そんな二人の耳に、宝町再開発のニュースが届く。
それに合わせるように街に不穏な空気が流れ始める中、二人はやがて怪しげなデベロッパーから街を守るための争いに巻き込まれていくという、お話としてはバブル時代を彷彿とさせる内容。
それプラス、神話時代からある普遍的なテーマ、“己の影との戦い”が絡めてあるので、ちょいとばかし辛気くさい(良くいえば深遠な)お話にもなっておりました。
それだけに、「この映画は人を選ぶかもしれないなぁ」と思ったのも確か。

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主人公二人の名前は、シロとクロ。シロは11歳、クロはひとつ上ぐらいか?
孤児の二人が兄弟かどうかも、いつ頃から一緒に暮らし始めたかも不明。
また、二人がなぜヤマカシやスパイダーマンもびっくりの運動能力を持っているのかも不明。
ただ、じっちゃというホームレスのじいさんが、二人のことをよく知っていて、何かというと訳知り顔で秘密を教えてくれる。
二人を見ていたら、『スラムドッグ$ミリオネア』や『シティ・オブ・ゴッド』のスラム育ちの主人公達を連想してしまった。
とにかく生命力はゴキブリ並みに強い。
そのせいかどうか、シロもクロもまだ12歳前後だっていうのに、何十年もこの街に巣くっているように思えるし、
じっちゃの口ぶりからもそう錯覚しちゃうほど。

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光と闇、陰と陽、生と死、非情と情、絶望と希望・・・と、この物語は二元論的なキーワードで形作られている。
主人公の二人からしてそうだ。
心に闇を抱えたクロと、そんなクロを慕い信じ続けるシロ。相反する2つ色は、互いを補完し合い、バランスを保っている。
クロはシロを守っているようで、実は守られている。
後半のクロ自身の心の闇との葛藤、それに呼応するように叫び狂うシロの姿は、
陰陽道の太極図を思い浮かべてしまうほどだった。
宝町という狭い世界のお話なのに、地球的な広がりを感じたのはそのせいもあったかな。


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by kiyotayoki | 2011-08-08 08:58 | 映画(た行)