映画の心理プロファイル

『キャバレー』(1971 米)

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原題:『CABARET』(125分)
監督:ボブ・フォッシー
編曲:ラルフ・バーンズ
音楽:ジョン・カンダー
撮影:ジェフリー・アンスワース
出演:ライザ・ミネリ
    マイケル・ヨーク
    ヘルムート・グリーム
    ジョエル・グレイ

おメメの大きさというか、目力でゴールディ・ホーンに負けない女優さんというと、
まず思い出すのはライザ・ミネリ。そして、ライザ・ミネリといえば、この作品を取
り上げないわけにはいかないでしょう。
名振り付け師として名高いボブ・フォッシーによる、歌と踊りと時代の空気がた
っぷり詰め込まれたラブロマンスです。

映画の舞台は、1930年代初頭のベルリン。たぶん30年か31年あたり。
ヒトラー率いるナチ党が台頭を始める頃。
とにかく、時代が大きく変わりつつある転換期のお話です。
恋をすることになる2人は、そんなベルリンのとある下宿で出会います。
その2人とは、イギリスからやって来た語学生ブライアン(M・ヨーク)と、
アパートの先住者で、女優を夢見てアメリカからやって来て今はキット・カット・
クラブというキャバレーで歌手兼踊り子をしているサリー(L・ミネリ)。
恋愛タイプでいえば、サリーはホレっぽいエロスタイプ、ブライアンはお堅い現実
主義のプラグマタイプ。相性的には最悪なので、親交は深まるものの、なかな
か恋は進展しません。

その不満をサリーは歌と踊りと酒で発散します。
サリーが出演するキャバレーのステージでは夜ごと華麗なレヴュー(歌と踊りと
コントショー)が酔客の前で披露されます。時には、ダンサーたちによる泥んこ
プロレスまで見せてくれるサービスの良さ。
そのステージを取り仕切るのは、道化師のようにちゃめっけたっぷりの小男。
この小男を演じているジョエル・グレイとライザ・ミネリのショーが素晴らしいの
なんの。これだけでも一見の価値があります。
J・グレイは舞台俳優なので、なかなか映画ではお目にかかれませんが、
彼が拳法の老師を演じる『レモ/第1の挑戦』(1985)はお気に入りの作品の
ひとつです(近年では『ダンサー・イン・ザ・ダーク』にも出演)。

2人の恋はある出来事がきっかけで成就します。
けれど、そこへマクシミリアンという青年貴族が割り込んできて、話はちょっと
複雑に。しかも、サリーが妊娠。なのに父親が誰かわからない。サリーは
自由奔放に恋をする女性なので、ブライアンが父親とは限らなかったのです。
悩む2人。その間にも世相はどんどん緊迫した状況へ。
ナチスが不況による国民の不満を利用してどんどん力をつけてきたのです。
そのせいかキャバレーの客席にもナチ党の制服姿の客が目立って増え始めま
す。文化の統制が始まるのはもうすぐ。統制が始まれば、自由で退廃的な
レビューが売り物のキット・カット・クラブは閉鎖されるか、出し物の変更を強い
られることは目に見えています。
町の広場に非ドイツ的な書物を積み上げ、
「マルクスを焼け!フロイトを焼け!ハイネを焼け!」と叫びながら焚書の儀式を
行うのはもうまもなく、1933年のことです。
でも、そんな未来が迫っていることなどサリーたちが知る由もなく、今宵もステ
ージは華やかに幕を開けるのでした。
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by kiyotayoki | 2004-12-10 10:20 | 映画(か行)