映画の心理プロファイル

『コクーン』(1985 米)

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原題:『COCOON』(117分)
監督:ロン・ハワード
原作:デヴィッド・サパースティン
脚本:トム・ベネディク
特撮:ILM
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出演:スティーヴ・グッテンバーグ
    ドン・アメチー
    ターニー・ウェルチ
    ブライアン・デネヒー
    ジェシカ・タンディ

年末になると、雑誌やTVで過去を振り返る企画をよく見かけますが、
映画を題材にこんな文章を書いていると「アレ?あの人、今どうしてるんだろ」
と思うことがよくあります。
たとえば、この映画の主役のひとり、スティーヴ・グッテンバーグ。
この人、80年代はとても輝いてた役者さんでした。
『ダイナー』『ポリス・アカデミー・シリーズ』『スリーメン&ベイビー』
それから今回ご紹介する映画と、その続編『コクーン2/遙かなる地球』・・・と、
コメディを中心に立て続けにヒット作に出演していたのに、90年代に入ってからはパタッと
見かけなくなっちゃった。TVにでも転向しちゃったんでしょうか。
健在なら46歳になっていらっしゃるはずなんですが。

いつも元気で陽気なキャラで出ていた彼ですが、この『コクーン』では、
ちょっと抑えめの演技を心がけているように見えました。というのは、この映画の本当の主人公は、
ドン・アメチーをはじめとする老人たちだから。
この映画は、フロリダ沖の海底に隠したカプセルを回収するために1万年ぶりに地球を再訪したエイリアンと、
そのカプセルの不思議な力で若さを取り戻していく養老院の老人たちとの交流を描いたSFファンタジーなのです。

『未知との遭遇』(1977)あたりから始まった“宇宙人と地球人との交流”を描いた一連の映画には
秀作がたくさんありますが、これはその中でも異彩を放つ作品でした。
なにしろ、出演者のほとんどが老人ときてるんですから。
フロリダはリゾート地として有名ですが、冬でも20度以上ある温暖な気候のせいか
昔から老人の隠居場所、老人天国としても知られているところ。
でも、いくら降りそそぐ太陽が明るくても、老人たちの未来はお世辞にも明るいとはいえません。
誰の身にも死が間近に迫ってきているのですから。
外見はアロハに短パンでも、心は死に装束をまとっているような彼ら。
そんな彼らがエイリアンと接するうちに身も心も若返っていくところがこの映画の見どころのひとつです。

さて、この映画でのS・グッテンバーグの役どころは、貸しボート(といってもわりとデカイけど)の船長ジャック。
でも借り手があまりおらず、いつもサイフはからっけつ。
そんなジャックの船を27日も貸し切りたいという上客が現れます。
大喜びのジャック。でも実はその客がエイリアンだったのです。
その正体を知った時のジャックの慌てようときたらもう見苦しいほど。
正体を知られたエイリアンたちも慌てふためくかと思いきや、意外や泰然自若。
余裕の表情で、まるで子供をあやすようにしてパニクったジャックの心を鎮めてしまいます。
これは心理学的にいっても正しいやり方だったと思われます。
初対面で一気に親しくなる心理テクニックのひとつとして、
「まず自分が先にリラックスしてみせる」という鉄則があります。
正座で対面して膝を崩せずにいる時、相手が先に膝を崩してくれると、ホッとして自分も崩すことができますよね。
あの要領で、緊張状態にいる場合、こちらが先にリラックスして心を開けば、
相手も自然に和んで心を開いてくれるというわけです。
悪いエイリアンではないと知ったグッテンバーグ扮するジャックはホッとしていつもの笑顔を取り戻しますが、
あの笑顔、久しぶりに見てみたいものですが、今頃どうしてるんでしょうね、グッテンバーグさん。
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by kiyotayoki | 2004-12-23 09:52 | 映画(か行)