映画の心理プロファイル

『ゴーストライター』(2010 仏・独・英)

ロマン・ポランスキー監督というと、
ミア・ファロー主演のホラー『ローズマリーの赤ちゃん』(1968)にしても
ハリソン・フォード主演の『フランティック』(1988)にしても
それから、オスカーを受賞した『戦場のピアニスト』もだけれど
孤独な主人公が自分では何ともし難いアクシデントに巻き込まれ、
どんどん悪化していく状況に追いつめられていくお話が多い。
そういうストーリーを好むのは、ロマン・ポランスキーという人の人生観や死生観とやはり関係があるのかしらん。

この映画も、“巻き込まれ、追いつめられ”の典型のような作品でした。
ポランスキー監督の真骨頂みたいな作品だけに、見応えはありましたよ。

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原題:『THE GHOST WRITER』(128分)
監督・脚本:ロマン・ポランスキー
原作・脚本:ロバート・ハリス
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:ユアン・マクレガー
    ピアース・ブロスナン
    イーライ・ウォラック

タイトルからもわかるように、主人公の職業はゴーストライターです。
そういう職業のせいもあってか、主人公にはあえて名前が与えられていません。
名前がないと、存在そのものがあやふやになってしまう
(視線がいつもさまよっている感じのするユアン・マクレガーがその役にぴったり)。
それが余計にサスペンス(宙ぶらりん感)を高めているような気がしました。


物語は、主人公(ユアン・マクレガー)が、引退した前英国首相ラング(ピアース・ブロスナン)の回顧録の
ゴーストライターをひきうけるところからスタート。
主人公は、ラングが現在生活の拠点としているアメリカ東海岸の寒々しい島に渡り、そこでインタビューと執筆活動をはじめることになるのですが…(ポランスキーは米国には入国できないので、東海岸じゃないどこかの場所で撮影したんだと思うけど)。

実はこの仕事には前任者がいました。それは長年前首相の片腕だったスピーチライター。
だけど自伝の仕上げの途中に急死(自殺?他殺?)してしまった。
そんなスピーチライターの不審死は彼を不安に陥れます。
もしや、自分の身にも何か不吉なことが起こるのではと。
そして、その予感は的中してしまうことになるのだけれど・・・。

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前首相のピアース・ブロスナンが、はまり役です。
外面はいいしユーモアも解し、カリスマ性もある。だけど高慢でふてぶてしく、保身のためなら手段は選ばない。
そんな彼の秘書アリスは、どこかで見た顔だなぁと思ったら、「セックス・アンド・ザ・シティ」のキム・キャトラルでした。
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ラングの妻ルース役には、オリヴィア・ウィリアムズ。
『シックス・センス』でブルース・ウィリスの奥さんを演じた人。
あれから10年余、クールビューティぶりはいまだ健在。
この人がまたファースト・レディの孤独を体現しているし、
何をしでかすかわからない不気味さを醸し出してる。

つまり、お話の設定も、舞台となる寒々とした孤島という設定も、そして登場人物も皆さん怪しくて、お話がどう展開していくかが読みにくい構造になっているんですね。
観客を主人公と一緒にどんどん深い闇へといざなっていくところが、とっても怖~い。

登場人物の中には、「わあ、まだお元気なんだな♪」と、嬉しくなってしまった人もいました。
それが、イーライ・ウォラックさん。

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『ホリデイ』(2006)の時も、もう相当なお歳だなぁと思ったけど、調べてみたら今年の12月で97歳になられるんだね。
『荒野の七人』(1960)の盗賊団の親玉の役は強く印象に残っているけど、
あの映画のメインキャストで生き残っているのはこの人ぐらいじゃないかしら(後はロバート・ヴォーンぐらい?)。
まだまだお元気でいてほしいなぁ。
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by kiyotayoki | 2012-04-28 11:02 | 映画(か行)