映画の心理プロファイル

『荒野の七人』(1960 米)

a0037414_113111.jpg
原題:『THE MAGNIFICENT SEVEN』(128分)
監督・製作:ジョン・スタージェス
原作:黒澤 明他
音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:ユル・ブリンナー
    スティーヴ・マックィーン
    チャールズ・ブロンソン
    ジェームズ・コバーン
    ロバート・ヴォーン
    ホルスト・ブッフホルツ
    ブラッド・デクスター
   イーライ・ウォラック
a0037414_11561799.jpg
リメイクものというと、思い浮かぶのはやはりこの映画。
オリジナルは、言わずと知れた黒澤明監督の『七人の侍』
(1954)。個人的には、『荒野の七人』のほうを先に(TVで)
見たので、リメイクというイメージはあまりないのですが・・・。
監督は、その後この映画に出てくるイキのいい役者さん達を
使って傑作『大脱走』を撮ることになるジョン・スタージェス。
一度聞いたら忘れられないテーマ曲の作曲者は、エルマー・
バーンスタイン。
主演は上のポスター写真には小さくしか写っていませんが、眼光鋭い
ユル・ブリンナー。上のポスターはリバイバル上映時のものらしく、人気絶頂
だったマックィーンとブロンソンがまるで主役のように前面にフィーチャーされ
ています。

舞台となるのは、メキシコの寒村イストラカン。村人達はただでさえ貧乏なの
に、毎年盗賊の一群に貢ぎ物を強要され困窮していました。そこで窮余の一
策、村人たちは助っ人を雇うことにします。まず白羽の矢を立てたのが黒い
テンガロンハットに黒い服の凄腕ガンマン・クリス(Y・ブリンナー)。
このクリスが『七人の侍』でいえば志村喬が演じた勘兵衛に当たる人物。
クリスは、頼りになそうな男達を仲間に引き込んで村へ向かいます。
その仲間というのが、ヴィン(S・マックィーン)、オライリー(C・ブロンソン)、
ハリー(B・デクスター)、ブリット(J・コバーン)、リー(R・ボーン)、そして
お邪魔虫のチコ(H・ブッフホルツ)の面々。
役柄でいえば、ブッフホルツの役が一番の儲け役のはずなんですが、存在
感の違いか、結局、目立ったのはマックィーンとブロンソンとコバーンの3人。
この3人はスタージェス監督の次なる大ヒット作『大脱走』にそろって起用され
またまた存在感を見せつけていますから、やっぱりスターになる人って輝き方
が違うんでしょうね。
この映画の中で、もうひとり強烈な個性を発揮しているのは盗賊のボスを演じ
ているイーライ・ウォラック。『荒野の七人』のうち6人は故人となってしまい、
残っているのはロバート・ヴォーンだけですが、敵キャラのイーライ・ウォラック
翁は89歳にしていまだ健在というのは嬉しいかぎり(『ミスティック・リバー』
にもちょい役で出ておられましたし)。

それにしても、今回ざっと見直してみて驚いたのは、村人からもらう7人の
報酬がひとりアタマたった20ドルだってこと。いくら当時は今より物価が安かっ
たからってねえ。しかも契約では「6日間で」と言ってたので、1日にすると
たった3ドルちょっと。マックィーン扮するヴィンが「拳銃の弾代にもならない」
ってグチってましたから、日給としては相当安かったに違いありません。
それでも彼らが命をかけたのはなぜだったのでしょう。

それは、『認知的不協和』という心理が働いたからだと思われます。
人は「こんなに安いのに、なんで危ない仕事をしなきゃならないんだ」という
心理的葛藤(不協和)が生じると、「いや、ギャラの安さなんか関係ない。
これは俺じゃなきゃできない仕事だし、村人を助ける崇高な仕事なんだ」と、
いろんな理由をつけて自分を納得させ、自分の行動を正当化しようとする
イキモノらしいのです。
ボランティアで働く人たちを見ると感心しちゃいますが、彼らは彼らで心に芽生
える葛藤をきっと『認知的不協和』の心理で解消しているんでしょうね。 
[PR]
by kiyotayoki | 2004-12-29 11:31 | 映画(か行)