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映画の心理プロファイル

マタギサミットin遠野

岩手への旅の目的の一つ、それが
『マタギサミット』への参加だった。

『マタギサミット』の正式名称は『ブナ林と狩人の会 ~マタギサミット~』。
今年で23回目を迎えるこの会は、中部東北地方の豪雪山岳地帯に点在するマタギ集落を中心とした
狩猟文化を研究していらっしゃる東北芸術工科大学田口洋美教授の提案によってはじめられたもの。

毎年、様々な地で、その年にふさわしいテーマでパネルディスカッションや質疑応答が行われるらしいのだけれど、
今年のテーマが「放射能汚染と東北の狩猟」だと聞いて、参加してみようと思い立ったのでした。

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サミットが開かれたのは、遠野駅から歩いて7、8分のところにある「あえりあ遠野」。
広い会場に200人近い人が集結。
皆さん私服なので、一見するとタダのおじさん風。だけど、約半数はマタギの関係者とのことだった。
中にはいかにもマタギという雰囲気と気概を醸し出されている方もいらっしゃった。

まず、幹事役の田口教授が、原発事故の野生鳥獣への影響をレポート。
東北を中心に16県で狩猟された野生動物から放射性セシウムが検出されたとのこと。
配布された参考資料を見てみると、
やはり福島で捕獲された野生鳥獣の肉のセシウム検出値は、他県のそれよりケタ違いに大きい。

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田口教授によると、エサと一緒に土も口に入れるイノシシの放射能汚染は長期化するだろうとのこと。
それだけでも原子力開発を推進ししてきた歴代の政権と電力会社、
そしてそれを黙認してきた私たちの罪の大きさ重さを痛感されられた。
だって、野生の動植物たちは今もほとんど何も救いの手を差し伸べられず見捨てられているのが現状なんだもの。

そのあとの現役のマタギ6人によるパネルディスカッションのテーマは
「今年、クマの大量出没は起こるのか」だった。
実際、今年はすでに里に下りてきたクマによる被害が例年より多く報告されているんだとか。
そういえば昨日も石川県金沢市の墓地で墓参りに来ていた人がクマと遭遇して怪我をしたというニュースが報道されていた。

クマが出没する原因はさまざまあるとのことだった。
「クマの餌となるブナの実などが採れなくなっている(今年は特に壊滅的らしい)」
「人間の出す残飯などの味が忘れられずに出てくる」
「昔は猟師があえて手負いで逃がしクマに人間の怖さを学習させた。それが猟師の減少、春猟の中止などできなくなった」
などなど。

この会議に参加するまでは、狩猟に関しては否定的な考えしか持っていなかったのだけど、
狩猟は自然環境の持続性を保つのに寄与しているという見方もできるんだね。
“山と森に生かされる哲学”を体得しているマタギ(猟師)は、
野生動物と人間がほどよい距離を保つように按配してくれているともいえるわけだ。

ところが、近年そのマタギ人口がどんどん減っているのだとか。
去年の大震災がそれに拍車をかけたという。
それだけに、里に出てくるなという人間からのシグナルがちゃんとクマに伝わっていないというんだね。

そういえば、
この会に参加する前、遠野の山野をかなり歩き回ったのだけど、帰りの遊歩道でこんなものを見つけた。

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どうやらクマの糞らしい。それほど乾燥していないから、夜中から明け方頃にかけて、
この遊歩道をクマがうろついていたということか・・・
(遊歩道は南部神社につながっていて、その先には遠野の市街地がある)。
クマの人里への出没は現実なんだなと実感したひとコマでありました。


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こちらは、マタギが山へ猟に出かける時に携帯する「ナガサ」という山刀。
初めて見たけれど、クマと命のやりとりをする時に使うというだけあって、刃の鋭さは半端じゃありません。
見てるだけで背筋がヒンヤリとしてしまいした。
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by kiyotayoki | 2012-07-09 10:53 | 備忘録