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映画の心理プロファイル

『ペーパームーン』(1973 米)

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原題:『PAPER MOON』(103分)
監督・製作:ピーター・ボグダノヴィッチ
原作:ジョー・デヴィッド・ブラウン
脚本:アルヴィン・サージェント
出演:ライアン・オニール
    テイタム・オニール
    マデリーン・カーン
    ジョン・ヒラーマン

この映画に実の父親ライアン・オニールと出
演し、9歳でこの年のアカデミー助演女優賞
をかっさらったのが天才子役テイタム・オニ
ールでした。

舞台は、1930年代のアメリカ中南部。詐欺師のモーゼ(R・オニール)は
女友達の葬儀に参列したばかりに、9歳の遺児アディ(T・オニール)を叔母
の家まで送り届ける役目を押しつけられてしまいます。
でも引き受けたのにはモーゼにもちゃんと目算があったから。
モーゼはアディをダシに、交通事故で母親を死なせた加害者側から200ドル
を脅し取り、その金で新車を買ってしまいます。
その釣り銭でアディを汽車に乗せてしまえばお役ご免、となるはずだったんで
すが、アディのほうがモーゼよりもう一枚うわてだったんですね。
「私のお金よ、200ドル返して!」
そう凄まれて、モーゼは大弱り。仕方なくアディを車に乗せてとりあえず町を
出ることに。
その“とりあえず”が、旅を続けていくうちに、いつの間にか互いに互いがなく
てはならない存在になっていく・・・という、楽しく愉快で、そして最後は心に
じぃーんと染みるロードムービーの秀作です。

モーゼを驚かせたのは、アディが齢9歳にして、世の中の酸いも甘いも噛み分
けた少女であったこと。大恐慌の時代、母一人子一人でさぞ苦労してきたんで
しょう。とにかく両切り煙草をふかす仕草は堂に入ったものだし、詐欺のテクニ
ックもすぐ覚えて自分なりに応用までしちゃう。
実際、アディとコンビを組んでからはモーゼの詐欺稼業は随分と効率がよく
なります。アディのような幼子と一緒だと、相手は警戒心を解きますし、
愛くるしい目で見つめられると、援助欲求が高まってつい高い商品でも
買ってしまうんですね。
「交渉事には童顔の同僚を連れて行け」
これも心理戦の鉄則。
そんなアディに舌を巻きながらも、モーゼは父親めいた愛情を感じ始めます。
アディのほうも減らず口はたたくもののモーゼのことを「本当のお父さんかも」
と思っている感じ。

タイトルは30年代にヒットしたという『It's Only A Paper Moon』から採られ
たもの。テーマ曲にもなっています。
「信じ合えば、愛し合えば、助け合えば、紙のお月様だって、ほら!本物に見
えるでしょ」という映画の宣伝コピーがすべてを言い表しているような感じです。
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by kiyotayoki | 2005-01-23 10:58 | 映画(は行)