『トップ・シークレット』(1984 米)
原題:『TOP SECRET!』(90分)
監督:ジム・エイブラハム
デヴィッド・ザッカー
ジェリー・ザッカー
音楽:モーリス・ジャール
出演:ヴァル・キルマー
オマー・シャリフ
ピーター・カッシング
2人目の怪優は、この人。
『スター・ウォーズ』(1977)に冷酷な帝国軍総統モフ・ターキン
役で出演したピーター・カッシングの最後の映画出演作がこの
作品。『フライングハイ』などのハチャメチャギャグでおなじみの
J・エイブラハム+ザッカー兄弟による爆笑コメディです。
これが最後で良かったのかな・・・・。いや、良かったんだと思いましょう。
この作品は、けっこう笑えましたしね。最後までB級に徹したと考えれば、
潔いとも言えますし。
カッシングは1913年5月26日生まれ(94年没)。当たり役は、やはりクリス
トファー・リー扮するドラキュラと対決したヴァン・ヘルシング教授でしょう。クー
ルで頭脳明晰な教授の演技はまさにハマリ役でした。
この映画の撮影当時は70歳。
お話の舞台は、まだ東西の壁が存在していた頃の東ドイツ。そこに招待され
たアメリカのロック歌手が、自由な社会を取り戻そうとするレジスタンスと共に
大暴れするお話・・・・。といってもお話はまあ二の次。いかに観客を笑わせる
かに心血が注がれた作品です。
そのために、この映画でデビューしたヴァル・キルマー(当時24歳)も、『アラ
ビアのロレンス』など数々の名作に出演している名優オーマ・シャリフ(当時51
歳)も体を張って笑わせてくれます。特に、O・シャリフの涙ぐましいまでの熱演
ぶりには脱帽。
そんな中、登場するのが、我らがピーター・カッシング。正直、出番は少ない。
けど、インパクトはあります。
本をチェックしているカッシング。拡大鏡を使っているので目がデカい・・・と思ったら、拡大鏡を外しても目はデカいまま、というコテコテのギャグをクールに決めてくれます(特殊メイクする時間のほうが、出演時間より長かったかも)。
コテコテだけど「“笑い”は心の慣性(先入観や常識)を破壊することで生まれる」という笑いの心理法則にはちゃんとのっとったギャクではあります。