映画の心理プロファイル

『ブレード・ランナー』(1982 米・香港)

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原題:『BLADE RUNNER』(116分)
監督:リドリー・スコット
原作:フィリップ・K・ディック
脚本:ハンプトン・フィンチャー
    デヴィッド・ウェッブ・ピープルズ
デザイン:シド・ミード
音楽:ヴァンゲリス
出演:ハリソン・フォード
    ルトガー・ハウアー
    ショーン・ヤング
    ダリル・ハンナ
    ジョセフ・ターケル

ここ数回、“怪優”を取り上げてきましたが、そもそも“怪優”ってどんな人のこと
をいうの?・・・って疑問を抱く方もいるでしょうね。
「怪物のような容貌の俳優」なのか
「怪奇な映画に出る俳優」なのか、
それとも「怪しい雰囲気を持つ俳優」をそう言うのか・・・。
実は思いつきで始めたので、そこんとこあまり考えてなかったんです(^^;)。
ですから、まことに勝手ながらそれらをひっくるめて「怪優」と呼びたいな、と思
っております。ついでに、『怪』には「普通じゃない、尋常ではない」という意味
があるので、そういう演技をする人も“怪優”と呼びたいなと。
というのも、今回取り上げるルトガー・ハウアーはそのタイプの“怪優”さんだか
らです。

この作品、久しぶりに見直してみましたが、ディレクターズ・カット版だったせい
か、かつて映画館で見た時とは印象が随分違いました。
それもそのはず、ハリソン・フォードのひとり語りがカットされいてたり、結末を
大幅に変えたりしてあるんですね。当時、カルト的人気のあった作品ですし、
ファンの間では賛否両論あったことでしょう。
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でも今回の主眼は、あくまでルトガー・ハウアー。
この人のこの映画での強烈な印象は、当時のままでした。
舞台は、2019年11月のL.A。最近はガンダムのキャラク
ターデザインも手がけているいるというシド・ミードの手によ
る近未来の街並みが今見ても斬新。
この時代、ロボット(レプリカント)開発は相当進んでおり、
ネクサス6型などは人間とほとんど見分けがつかないほど。
憎悪、恐怖、嫉妬心といった感情も有しているため、人類に危害が及ぶとして
レプリカントの活動は地球外に限定されており、しかも4年しか寿命がもたない
という安全装置が彼らの体内には組み込まれています。
そんなレプリカントたちが反乱を起こし、5体が密かに地球に戻ってきていると
いうので、当局はH・フォード扮する特別捜査官ブレード・ランナーに「発見し
次第、殺せ」という命令を下します。
自分でつくり出したものを制御できなくなって慌てる、墓穴を掘る・・・われら
人類が懲りずにやってることです。
その反乱レプリカントのリーダーがR・ハウアー扮するロイ。
鷹のような鋭い目と鋼のような肉体を持ち、自分と仲間の過酷な運命に怒りと
深い哀しみ、そして絶望感を抱くレプリカントを、当時37歳のハウアーが見事
なまでに演じきります。
そういう事情がわかっているせいか、主人公はハリソン・フォードなのに、見て
るこちらは敵役のルドガー・ハウアーにどんどん感情移入していっちゃう。
しかも、レプリカントたちがそろいもそろって美しい(例外が1人いますけど)!
ハウアーしかり、ショーン・ヤングしかり、ダリル・ハンナしかり、です。
ロボットという設定もあってか、みんなシンメトリー(左右対称)な顔をしてるか
ら尚更。ヒトがシンメトリーな個体に惹かれることは、動物行動学でも証明
されているようですしね(『シンメトリーな男』左のライフログを参照)。
それとは対照的に、この映画に出てくる人間たちは左右非対称な顔立ちの
人ばかり。
このお話、左右対称の新人類vs左右非対称の旧人類の戦いとも言えるかも。

この作品では、「H・フォード扮するデッカード=レプリカント」という説がもっぱら
ですけど、左右対称=レプリカントだとすればちょっと疑問符が。
ハリソン・フォードって微妙に顔の左右がズレてますものね。

今回、見直してみて一番印象に残ったのは、ハウアー扮するロイの死に様。
こんなに美しい死に姿(?)は他に例を知りません。
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by kiyotayoki | 2005-02-27 15:28 | 映画(は行)