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映画の心理プロファイル

改めて『テッド』の背景について考えてみた。

『テッド』で監督・原案・脚本、おまけにテッドの声まで担当したセス・マクファーレンは、
なぜ、熊のぬいぐるみに命を吹き込むというアイデアを思いついたんだろうか。
そのあたりを、マクファーレンさんの年齢や好みを手がかりに考えてみた。

マクファーレン監督は、1973年10月26日生まれの39才。
SF映画やテレビドラマやアニメが大好きな少年だったみたいで、
思春期に夢中になった作品がお話の中にはいっぱいちりばめられております。
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たとえば、『フラッシュ・ゴードン』は1980年公開の作品。
この映画が公開された時、マクファーレン監督はまだ幼かった(6、7才頃)から、きっと映画館じゃなくテレビで放映された時に観て夢中になったんじゃないかな。
小学生の彼にとって、同じ頃(1982年)に公開されたものの優等生的だった『E.T.』より、チープだけどマンガチックでクィーンのテーマ曲もカッコいい『フラッシュ・ゴードン』のほうがずっと共感できたんじゃないだろうか。

マクファーレンさん、『フラッシュ・ゴードン』で主演したもののず~っと鳴かず飛ばずだったサム・ジョーンズをスクリーンに引っ張り出しちゃってる。よほどハマってたんだね、この作品に。

似たケースだと、ティム・バートンも子供の頃からの憧れの怪奇俳優ビンセント・プライスを『シザー・ハンズ』に担ぎ出している。

「憧れだった俳優に自分の作品に出てもらう」というのは、映画監督を目指す人が抱く夢のひとつなのかもしれないね。

監督が自分の作品に出てもらったのは、サム・ジョーンズだけじゃない。
トム・スケリットにもカメオ出演してもらってる。こちらは、『エイリアン』(1979)でノストロモ号の艦長を務めていた人。
マクファーレンさんは、このトム・スケリットにもなぜかご執心で、セリフの中にも出てくるし、最後はご本人まで登場して映画ファンをニヤリとさせてくれる(だけど、なぜそこまでご執心だったのかは最後までわからず終いでした)。
お話の中には、『エイリアン2』(1986年)を意識したシーンもあるけれど、公開時13才だったことを考えると、
この映画の与えた影響は『1』より大きかったかも。こっちはリアルタイムで観ただろうしね。

考えてみると、マクファーレン監督世代の人って、SF映画花盛りの時代にちょうど思春期を迎えてるんだね。
前述の映画の他に、スペースオペラの代表作『スターウォーズ』が次々に公開されていた。
1作目が1977年で、2作目の『帝国の逆襲』が1980。そして3作目『ジェダイの復讐』が1983年。
こちらも、マクファーレンさんとしてはたぶん3作目にシンパシーを覚えたに違いない。
だって前の2作は、たとえ映画館で観ていたとしても幼すぎてよくわからなかっただろうし。

その3作目『ジェダイの復讐』に登場して、その可愛らしさで評判になったのがイウォークだった。
人気のあまりに、スピンオフ作まで作られた。それが『イウォーク・アドベンチャー』(1984)だ。

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当時11才のマクファーレン監督、これを観たんじゃないかな。そして、自分でもいつかあんな可愛いキャラクターの出てくる
お話(映画)を作ってみたいと夢見たんじゃないだろうか。夢見ないまでも、テッドを発想するきっかけにはなったんじゃないだろうか。
つまり、「テッドの原型はイウォークにあり」と想像するんだけど、さて、あなたはどう思います?

ただ、マクファーレン監督、可愛いだけじゃ「つまらん」と思ったんだろうね。
テッドは全米中に知れ渡る存在になって、セレブとして一時的に人気者になるんだけれど、その後は忘れられて
酒と薬におぼれるようになる・・・これって、有名子役のその後の人生を彷彿とさせる。
テッドのキャラクターを考えてる時、きっとマクファーレン監督の脳裏には『E.T. 』のドリュー・バリモアや
『ホーム・アローン』のマコーレー・カルキンの顔が浮かんだに違いない。


それはそれ、
マクファーレン監督の最大の功績は、テッドにマユをつけたことじゃないかな。
マユがあるだけで、テッドの表情は10倍どころか100倍は豊かになったものね。

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by kiyotayoki | 2013-02-11 16:41 | 備忘録