映画の心理プロファイル

『蜘蛛女』(1993 米)

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原題:『ROMEO IS BLEEDING』(110分)
監督:ピーター・メダック
脚本:ヒラリー・ヘンキン
音楽:マーク・アイシャム
出演:ゲイリー・オールドマン
    レナ・オリン
    アナベラ・シオラ
    ジュリエット・ルイス
    ロイ・シャイダー
    ロン・パールマン

これは、Gloriaさんとコメント交換をさせてもらって、是非取り上げなきゃ!
と思っていた作品です。
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この映画でレナ・オリンが演じるモナ・デマルコフというロシア出身の女マフィアこそ
“怪女”と呼ぶにふさわしい人物だから。
こんな役のオファーを受けたスウェーデン出身のレナ・オリン自身も、目つきが鋭い上、
ゾッとするよなドスの効いた声をしていますし、怪優と呼ぶにふさわしい人かも。

モナは16歳で殺しの味を覚えたという女猛者。その上、強烈な上昇志向の持ち主で、
NYマフィアのドンであるファルコーネ(R・シャイダー)を蹴落として、自分がドンの椅子に座ろうと狙っているスゴイ女。
こういう『内的統制感』の強い人は、良くも悪くも「成り上がっていく」タイプ。
自分が一番にならなきゃ我慢できないタイプなんですね。
それに危機感を抱いたファルコーネは、子飼いの汚職警官にモナ殺害を命じます。
その子飼いの汚職警官というのが本作の主人公・ジャック(G・オールドマン)。
ジャックはNY市警の刑事でありながら、マフィアに機密情報を流しては金を稼いでいたのです。
しかも、愛する妻(A・シオラ)がいながら、若いウェイトレスのシェリー(J・ルイス)と不倫もしているというダメダメ男。
そういう役がまた似合うんです、このオールドマンって役者さんは。
物語はジャジーな音楽が流れる中、ジャックのモノローグで進んでいきます。

モナが怪女ぶりを見せつけてくれたのは、ジャックに腕を撃たれ、後ろ手に手錠をされて車の後部座席に押し込まれたあとのこと。
モナは唯一自由な両足を使って背後から運転中のジャックの首を締め上げたのです。さすが蜘蛛女!
思わぬ反撃に焦ったジャックは車を電柱にぶつけて失神。
その間にモナはヒールでフロントガラスを蹴破ると、ジャックの買収用に持ってきていた札束入りのカバンを口にくわえて車外に這い出すや、鬼の形相で脱兎のごとく走り去ったのでした(しかも、ややガニ股走りで)。

結局モナはドン・ファルコーネ排除に成功します。しかもとても陰惨な方法で。
まず部下にファルコーネとジャックを拉致させ、命を助けるという条件でジャックに墓穴を掘らせ、
そこにファルコーネを生き埋めにしてしまったのです。
さすが“蜘蛛女”、やることがえげつない。
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この映画の原題は『ROMEO IS BLEEDING』。
ロミオのように「恋に一途になる男は血の涙を流し続ける」って意味でしようか。
これは、身勝手に女と人生をもてあそんだ男が、もっとスゴイ身勝手女に翻弄されたあげくに
一番大切な人をも失って後悔の念に苛まれ続けるというお話。
「愛が不安と背中合わせなのは、与えられるとは限らないからだ」
そう述懐していたジャックは、ひとり砂漠の中にぽつんと建つダイナーで妻が訪れるのを待ち続けます。
その姿はまるで死人のよう。
いや、ひょっとしたらジャックは死んでいたのかも。
罪を犯した人間が行く地獄には、「弧地獄」という場所があるそうです。
そこは孤独という罰を与えられ、ひとり淋しさにもだえ苦しむところなのだとか。
ジャックがたどり着いたダイナーはまさにそんな所。
やっぱりヒトはひとりでは生きていけないんだな・・・しみじみそう思わせてくれる映画です。
 
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by kiyotayoki | 2005-03-11 10:30 | 映画(か行)