『インファナル・アフェア』(2002 香港)
原題:『INFERNAL AFFAIRS 無間道』(102分)
監督:アンドリュー・ラウ
アラン・マック
脚本:アラン・マック
フェリックス・チョン
音楽:コンフォート・チャン
出演:アンディ・ラウ
トニー・レオン
アンソニー・ウォン
エリック・ツァン
ケリー・チャン
この映画で、トニー・レオンが演じる潜入捜査官を見ていて“やさぐれ”という
言葉が頭に浮かびました。
警察学校でその才能を見出され潜入捜査官となったヤン
は、もう10年も暗黒街に身を置いているせいか自らの
アイデンティティを見失いかけている男。
それも当然かもしれません。なにせ彼が警官だと知ってい
るのは直属の上司であるウォン警視(A・ウォン)しかいないのですから。
彼を知っている10人中10人が「ヤンは麻薬組織のボス、サム(E・ツァン)の
片腕」と答えるでしょう。そんな中で自分を見失わずに生きるのは至難の業。
多少“やさぐれ”てしまうのは仕方のないこと。
・・・と、ここまで書いて、ふと考え込んでしまいました。
安易に使ってる“やさぐれ”って言葉、ちゃんとわかって使ってるんだろーか。
“やさぐれ”の「やさ」って“やさおとこ(優男)”の「やさ」だっけ?
調べてみたら、いやぁ調べてみるもんですね。
“やさぐれ”の「やさ」は、なんと「さや(鞘)」が反転した言葉で「家」のこと。
「ぐれ」は「外れる」こと。で、かつては「家出すること」「家出人」のことを“やさぐ
れ”と言っていたのだとか。それが転じて、「投げやりな様子」を言うようになっ
たらしいんですね。うーむ。
まあ、ヤンには帰るべき家がないという意味では“やさぐれ”という言葉は
やはり彼にふさわしいのかも・・・。
一方、高倉健と松尾伴内を足して2で割ったような顔をしてい
るアンディ・ラウが演じるラウは、逆にボスのサムの命令で
警察への潜入を命じられ、10年の間に出世して組織犯罪課
の係長にまでなっている男。
勤務成績も抜群で、上司からの信任も厚く、エリート街道まっしぐら。
プライベートも充実していて、相思相愛の恋人もいる。
荒んだ心を癒すためカウンセリングに通っている“やさぐれヤン”とは大違い。
でも、やっていることはヤンと同じ。内通が彼の役目なのです。
そんな2人が、それぞれの存在に気づく時がやってきます。
ある麻薬取引とその摘発騒動が原因で、麻薬組織と警察のどちらにも内通者
がいることが明らかになったから。
その後のスリリングな展開、シャープな絵づくりは、さすがに各ブログサイトで
高い評価を得ているだけはあるなとうなってしまう出来の良さ。
クールでしかも部下思いの警視を演じた
アンソニー・ウォンと、ふてぶてしい悪の総帥
を演じたエリック・ツァンもいい味出していまし
た。
これは、Ⅱ、Ⅲを観ないわけにはいかないでしょう。