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映画の心理プロファイル

『ソウ』(2004 米)

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原題:『SAW』(103分)
監督:ジェームズ・ワン
脚本:リー・ワネル
出演:ケイリー・エルウェズ
    ダニー・グローヴァー
    モニカ・ポッター
    リー・ワネル

映画のオープニングは、いわば家の玄関。
どんな造りかで家全体の印象も随分違ってきます。
その意味では、この映画の玄関の扉は、デザインは意外性があっていいんだけど、建て付けにちょっと問題があったかな~と正直思ってしまいました。

     ※ネタバレしている箇所があるのでご用心くださいまし^^;。

脚本も兼ねているリー・ワネル扮するアダムは、バスタブに張られた水の中で目を覚まします。く、苦しいッ。慌てて跳ね起き、バスタブから這い出すアダム。
その際、もがいた拍子に足でバスタブの栓を抜いてしまい、そのせいで何かが排水口に吸い込まれてしまいます。
それがきっと後で重要な意味を持つことを観客に匂わせる、味のある演出です。
それはいい。だけどパニくっていたアダムには何かが排水口に吸い込まれたなんて気づく余裕はなかったはず。これが後で問題になります。
第一、なぜ意識を失っている人間が水中で目を覚ますのか・・・。
考えられるのは、最初は肩から上は水の上に出ていたのに、眠っている間にずり落ちてしまったという可能性。
だけど、それは後で考えたことで、映画を見てる時は水中のアダムの顔が息を止めてるようにしか見えなかった(演技力の問題?)ので、え?んん~ッ?

もし、アダムが気絶している間に水中に没することなく自然に目を覚ましていたら、バスタブの栓を抜いてしまうこともなかったでしょう。
となると、重要な“ある物”も排水口に吸い込まれることもなかったでしょうし、その“ある物”は暗闇ではとても目立つものだったので、アダムぐにその存在に気づいたはず。となると、後の展開は随分と違ったものになったことでしょうに・・・。
頭のいい犯人が果たしてそんな危険な物をバスタブに入れておくか?
そう考えると、お話自体が成立しづらくなってかなりヤバイ感じ(^^;)。 
       

その直後、自分の足が鎖につながれていることを知ってますますパニくるアダムに、闇の中から冷静・冷徹な声が響いてきます。
声の主は誘拐犯?
と思いきや、実はその声の主もアダム同様に足を鎖につながれて、この広くて古いバスルームに閉じ込められている男だということがわかります。
男はゴードン(C・エルウェズ)という名の外科医。冷静さが要求される外科医だから暗闇に閉じ込められていても冷静でいられたんだろうか。あとでそう思いもしましたが、闇の向こうで誰とも知れない人間のわめき散らす声を聞いて果たしてあれほど冷静でいられるだろうか・・・というのが見ている時の感想でした。
しかも、それほど沈着冷静ならば暗闇の中でボウッと光る「×」の文字が、この時点で目に入っていたであろうに・・・(こんなこと書いても、この映画を見た人じゃないと理解できないと思いますが)。

本来なら、こんな重箱の隅をつつくような見方はしたくないタチなのに、オープニングでいきなり違和感を味わったために、どんどん斜に構えて見るようになっちゃった自分が恨めしかったな。
この作品を観た夜は疲れていて神経が高ぶっていたので、人の心理を無視した登場人物たちのちょっとした行動(というか脚本)が気にさわってしまったのかも・・・。

・・・と、出会い頭はちよっと違和感を覚えたものの、ストーリー自体はすこぶるスリリングで、前半はあの秀作『CUBE』のような雰囲気を漂わせ、中盤からは謎の連続猟奇殺人鬼“ジグソウ”をめぐってサスペンスフルに展開していきますから、息をつく暇もないほど。
それだけに出だしが惜しかったなあ・・・そう思います。


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by kiyotayoki | 2005-04-29 12:09 | 映画(さ行)