『ヴィレッジ』(2004 米)
原題:『THE VILLAGE』(108分)
監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ブライス・ダラス・ハワード
ホアキン・フェニックス
エイドリアン・ブロディ
ウィリアム・ハート
シガニー・ウィーヴァー
『シックスセンス』や『アンブレイカブル』のナイト・シャマラン監督作品です。
シャマラン監督の作品というと、まず独特の世界観を丹念につくり込んでおいて、観客がその世界に馴染んだところを見計らって大どんでん返しをかます、というのが定石のようになっていますが、この作品もそのパターンが踏襲されています。
できあがった先入観や固定観念をくつがえされる快感っていうんでしょうか。人間ってどん欲でそんな事にも快感を覚える生き物なんですね。
ただ今までの作品とちょいと趣が違うのは、サスペンス・スリラーというよりはスリラーチックなラブストーリーに仕上がっている点でしょうか。
オープニング。死んだ子供の埋葬シーンで映る墓石に1890-1897と刻まれているので、時代は19世紀末か。森の中に孤立し文明とは無縁の生活ではあるものの、信仰心厚い村人達はつましくほがらかに、そして一致団結して暮らしていました。ただし、奇妙な掟に縛られて・・・。
その掟とは、
①森は魔物の棲む魔界なので、一歩たりとも足を踏み入れてはならぬ。
②赤は不吉な色。見つけたら目に触れぬようにすべし。
③黄(キャメル)色は幸運の色。森と村の境界を守る者はその色を身にまとう
べし。・・・etc.
けれど、村の若者ルシアス(J・フェニックス)は掟を破ってでも森の先にある町へ行きたいと切望していました。薬さえあれば村の子の命は救えたのに、という思いがあったから。
それでも幼い頃から植え付けられてきた魔物への恐怖心は並大抵のものではなく、数歩森に入っただけで逃げ帰ってしまいます。
でも数歩とはいえ掟を破ったことに変わりはなく、それを機に村には次々と不吉な出来事が起こり始めるのです。
と、これがお話のイントロ。これ以上、内容に踏み込むとまだ見ていない方に申し訳ないので触れないでおくことにいたします。
この作品には、ウィリアム・ハートやシガニー・ウィーバーといったベテラン俳優が出ていて、このお話の雰囲気をしっとりと醸し出してくれているんですが、主演の盲目の女の子を演じたブライス・ダラス・ハワードって、監督でかつては俳優でもあったロン・ハワードの娘なんですってね。
彼女、1981年生まれらしいので、84年にロン・ハワードがつくった現代のおとぎ話のような映画『スプラッシュ』は自分の幼い愛娘に捧げた作品だったのかも。