映画の心理プロファイル

『暴力脱獄』(1967 米)

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原題:『COOL HAND LUKE』(128分)
監督:スチュアート・ローゼンバーグ
原作・脚本:ドン・ピアース
音楽:ラロ・シフリン
出演:ポール・ニューマン
    ジョージ・ケネディ
    ルー・アントニオ
    ストローザ・マーティン
    J・D・キャノン
    デニス・ホッパー
    ハリー・ディーン・スタントン
   
“脱走モノ”というジャンルがあったら、その筆頭はやはり『大脱走』(1963)でしょうけれど、この『暴力脱獄』も異色の“脱走モノ”としてすごく印象に残っている作品です。ポール・ニューマンの主演作としては『ハスラー』(1961)とこの作品が双璧ではないかと思うほど。
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街のパーキングメーターを壊した罪で2年の刑を言い渡されたルーク(P・ニューマン)は、ど田舎の、まるで捕虜収容所みたいな旧態依然とした刑務所に収監されます。そこでルークを待っていたのは、厳しい規律と過酷な労働、そして一癖も二癖もある囚人たちからのいじめでした。
特に、牢名主のような存在のドラグライン(G・ケネディ)は、ひとり我が道を行く男ルークを目の敵にして、いつかギャフンと言わせてやろうとチャンスをうかがっていました。
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そのチャンスがさっそく巡ってきます。それはレクレーションのボクシング試合。ドラグラインは自慢の体力にモノをいわせてルークをボコボコにしてしまいますが、何度倒されてもしつこく起きあがってくるルークに戦意を喪失。それどころか、ルークの根性に感服。それ以来、ルークに一目を起き、“クール・ハンドのルーク”と呼んで無二の親友扱いするようになります。
ドラグラインを演じたジョージ・ケネディはこの役でアカデミー助演男優賞を獲得することになりますが、その他の賞はほとんど『夜の大捜査線』にもってかれちゃったのは残念。

それにしてもこのルークという男、いったい何者なんでしょう。
群れたがらず、タフで反骨精神旺盛な男であることは確か。経歴は戦争帰りの2等兵。元は勲章をいくつももらった軍曹だったといいますから、何かをやらせれば人一倍の働きをするけれど、組織の中ではかなりの問題児でもあったのでしょう。
刑務所の中でも、到底できそうにない苦役をしゃかりきになってやり遂げたり、ゆで卵50個(約3キロ)を1時間以内に食べてみせると宣言して見事完遂(映画史に残る名シーン!)、囚人たちだけでなく看守からも掛け金をせしめるという離れ業もやってのけます。衝動的に、とんでもないことをしてしまう男なのです。でもその一方で、自分がどう生きればいいのかがわからず、自分を制御してくれる世界=軍隊や刑務所に進んで入ってしまったりもする・・・。
体制側からすれば厄介なこの男ルークを、精神科医が診たら『ボーダーライン人格障害』という診断をくだすかも。型にはめられることを嫌い、衝動的で、自分がいつも場違いなところにいるように感じる・・・・ルークはまさにこのタイプなのです。若くして亡くなった尾崎豊も多分にこの傾向があったとされています。

そんな男だからこそ、母死亡の知らせを聞くと、刑期はあとわずかであるにも関わらず脱獄を図ります。衝動的な脱走ですから、あっさり逮捕され見せしめの刑を受けます。ても、ルークはめげません。懲りずにまた脱獄。こんどこそ成功と思われたのですが・・・・。
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この映画には、のちに有名になる名脇役が大勢囚人として登場します。
たとえば左の写真は、若き日のデニス・ホッパー。
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また、個性派俳優のハリー・ディーン・スタントンの歌声が聞けるのはこの映画ぐらいではないでしょうか。
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by kiyotayoki | 2005-06-29 21:20 | 映画(は行)