映画の心理プロファイル

『恋のためらい/フランキーとジョニー』(1991 米)

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原題:『FRANKIE AND JOHNNY』(118分)
監督:ゲイリー・マーシャル
原作・脚本:テレンス・マクナリー
音楽:マーヴィン・ハムリッシュ
出演:アル・パチーノ
    ミシェル・ファイファー
    ヘクター・エリゾンド
    ネイサン・レイン
    ケイト・ケリガン

初めて見たときは深夜のTVでの“ながら視聴”だったので今ひとつピンときませんでしたが、今回はこちらが歳をくったせいもあり、大人の恋物語をじっくり堪能することができました。
「もう二度と誰も愛さない、女は心に決めていた・・・
もう一度愛する人を見つけたい、男はそう思っていた・・・」
この映画のキャッチコピーです。
そんな男女が大都会ニューヨークの片隅にある古いダイナーで出会います。
アル・パチーノ扮する男の名はジョニー。刑務所を出たばかりの男。そこで習い覚えた調理の腕を活かそうとコックを募集していたダイナー『アポロ』にやってきます。
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普通ならひと悶着ありそうな所ですが、ギリシャ人オーナーのニック(H・エリゾンド)は快く彼を受け入れます。この映画に登場する市井の人々はみな心優しい人たちばかりなのです。
ミシェル・ファイファー扮する女の名はフランキー。このダイナーで働くウエイトレス。自称32歳。ここ3年は男っ気なし、というか男を避けている様子。大都会でのひとり暮らしで、疲れた顔
(ミシェルの持ち味ですね)をしていますが、男でも開けられない瓶の蓋を軽く開けてみせる力自慢の女性でもあります。
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恋はジョニーの一目惚れからスタート。彼女の名前を知ってジョニーは益々運命を感じます。プレスリーの曲に『フランキー&ジョニー』という歌があるからです。俺達は恋人になる運命なんだ。だけどフランキーは知らんぷり。
というのも彼女の元カレは、妊娠中の彼女に暴力をふるった酷いDV男でした。一生子供を産めない体になったフランキーは以来、男性不信に陥っていたのです。
それでも2人は一度、ベッドを共にします。ジョニーの一途さと明るさにほだされて(“ゴム”の持ち合わせがなかったために、あやうくチャンスを逃すところでしたが^^;)。
これで彼女は俺のもの。ジョニーは単純にそう思ったことでしょう。でも、フランキーは違いました。体は許しても、心はまだ許していなかった。でも、その複雑さがジョニーにはわからない。ひとりの時間、ブライベートな時間を持ちたがるフランキーの気持ちがわからず、「来ないで」と言われたボーリング場にのこのこやって来てしまいます。
禁じられると、益々その禁を破りたくなる。そんな心理をある心理学者は『カリギュラ効果』と名づけています(ボストンで映画『カリギュラ』が公開禁止に。すると市民は他の街に行ってまで観たそうな。そこからの命名)。
その行為に怒ったフランキーは絶交を宣言。恋はあえなく散ったかに思われましたが・・・・。

それにしてもこの映画、原作がブロードウェイでヒットした舞台劇だけに、セリフがシャレています。たとえば、出所したばかりのジョニーが街の女を拾って帰った時のこと。「どんなプレイがお好み?」と娼婦が聞くと、「スプーンポジション」とジョニー。どんなプレイだろうと思ったら、2本のスプーンを重ねるようにして2人でベッドに寝るだけ。
ジョニーのフランキーへの愛の言葉も、「俺たち、サヤの中の豆のようにピッタリだよ」とか、即興じゃ思いつかないようなセリフを吐いてくれます。
(※舞台でフランキーを演じたのは『ミザリー』のキャシー・ベイツだったとか!)
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大人の恋は一筋縄ではいきませんが、ドビュッシーの『月の光』の流れる中でのラストシーンは印象的。最後、サバを読み続けていたフランキーが本当の年齢をジョニーに明かした時、彼女の心の最後の氷が溶けたような気がしたのは僕だけではないはずです。
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by kiyotayoki | 2005-07-06 22:10 | 映画(か行)