映画の心理プロファイル

『ボギー!俺も男だ』(1972 米)

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原題:『PLAY IT AGAIN,SAM』(89分)
監督:ハーバート・ロス
脚本:ウディ・アレン
音楽:ビリー・ゴールデンバーグ
出演:ウディ・アレン
    ダイアン・キートン
    トニー・ロバーツ
    スーザン・アンスパッチ

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フィリップ・マーロウつながりで、
「今夜『三つ数えろ』をTVでやるから、うちで一緒に見ない?」とウディ・アレン扮するアランがダイアン・キートン扮する女友達リンダを誘うシーンがあるこの映画を取り上げることにしました。
『三つ数えろ』(1946)は、チャンドラーの『大いなる眠り』の映画化作品で、このとき探偵フィリップ・マーロウを演じていたのはハンフリー・ボガート。その愛称ボギーはこの映画のタイトルにも使われています(原題の「Play it again,Sam」はボギー主演の『カサブランカ』の名台詞)。
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というのも、主人公のアランは『カサブランカ』(1942)や『三つ数えろ』を演じている時のボギーを理想の男性像として偶像視しているから。それだけじゃ飽きたらず、妄想癖のあるアランはボギーの幻影をつくり出し、そのボギーに恋のアドバイスを受けたりします。
実はアラン、愛妻に三行半をつきつけられてしまったチョンガー男で、ただいま恋人募集中なのです。だけど、チビで近眼で、29歳にして頭頂部がかなり薄くなってて、しかも超いじけ虫の男(つまり、いつものキャラ)だけに、なかなか恋人ができません。
それを心配して、なにかと世話を焼いてくれるのが友人のディック(T・ロバーツ)と妻のリンダ(D・キートン)なのです。
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2人はアレンに幸せになってもらおうと取っ替え引っ替え女性を紹介するんですが、ボギーの亡霊にアドバイスを受けてハードボイルド調で迫ろうとするアレンはチャンスをことごとく潰してしまいます。そうこうしているうちにアレンは、なんと親友の妻リンダに恋心を抱くように。リンダのほうも仕事で忙しい夫に放っておかれて欲求不満気味。しかも、2人は趣味趣向がピッタリなのです。同調の心理が働きやすい、つまり相性は抜群ということ。そこでアレンは冒頭のセリフを吐くことなにるんですが、さて、この禁断の恋の行方は・・・。

この映画、脚本がアレンだけに内容は『アニーホール』(1977)以降のアレン映画とほぼ同じスタイルや雰囲気を漂わせています(顔ぶれも似てます)。でも違うのは、監督がアレンではなくハーバート・ロスで、場所もアレンの大好きなNYではなく西海岸のサンフランシカコであること。当時のアレンは純然たるコメディしか撮っておらず、こういうシニカルなラブコメディはまだ撮らせてもらえなかったのかもしれませんね。
今回、見直すまで、この映画にダイアン・キートンが出ていたことを忘れていましたが、それもそのはず、当時はまだ新人だったんですね。でもこの年、彼女は『ゴッドファーザー』(1972)にも出演し、一気にブレイクしていくことになります。
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by kiyotayoki | 2005-08-05 14:14 | 映画(は行)