映画の心理プロファイル

『カサブランカ』(1942 米)

原題:『CASABLANCA』(103分)
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監督:マイケル・カーティス
原作:マーレイ・バーネット
    ジョアン・アリソン
脚本:ジュリアス・J・エプスタイン
    フィリップ・G・エプスタイン
    ハワード・コッチ
音楽:マックス・スタイナー
出演:ハンフリー・ボガート
    イングリッド・バーグマン
    ポール・ヘンリード
    クロード・レインズ

衛星でやっていたので久方ぶりに鑑賞。やっぱり名作って味がありますね。
久しぶりに観ると、意外なことに気づいたりもします。
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例えば有名な台詞、『君の瞳に乾杯』。
この名意訳をボギー扮するリックは4回も言ってたんですね。相手はもちろんすべてバーグマン扮するイルザ。当時26歳。その潤んだ瞳にはリックでなくても虜になっちゃいそう。
瞳が潤む原因は、2人の愛が成就しにくいものだから。
だって、イルザにはヴィクターという歴とした夫がいるんですから。
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─ じゃ不倫の愛なの?
─ そこが複雑なんだなぁ。2人が愛し合っていたのは、夫が独軍に殺されたという誤情報をイルザが信じていた間だけだったのですから。
夫の生存を知ったイルザは一通の手紙だけを残してリックの前から姿を消してしまいます。雨に濡れてにじむ文字が痛々しい。嗚呼、悲恋です。

お話は、アメリカが第二次世界大戦に参戦する直前の1941年。
すでにヨーロッパでは戦争は始まっていて、1年前の6月には独軍がパリに無血入城しフランスには親独のヴィシー政権が誕生。ドゴール将軍はイギリスに亡命、自由フランス軍を立ち上げます。
舞台はそんな時代の仏領モロッコの港町カサブランカ。町はここから自由の国アメリカへ亡命しようとする人々でごったがえしていますが、ここから出られるのは強力なコネとカネを持っている者だけ。足止めをくらった人々が憂さを晴らせる数少ない場所、それがリックの経営するナイトクラブなのです。
そんな町を牛耳っているのは、親独の警察署長ルノー。その裏では顧問の独軍将校シュトラッサーがいつも目を光らせています。
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とまあそんな状況下にやってくるんですね、イルザが夫のヴィクターと共に。リックにすれば、イルザは理由も告げずに自分の前から消えた女。それが亭主とやってきたんですから面白いわけがありません。しかも女は、神経を逆なでするように2人の思い出の曲をピアノ弾きのサムにリクエストするじゃありませんか(それがあの名曲『As time goes by(時の過ぎゆくままに)』)。

人間関係のトラブルの原因のほとんどは“嫉妬と羨望”だと言われていますが、リックがこの時味わった思いはまさに“嫉妬と羨望”だったのかも。
エルザという生き甲斐を失った後は人と深く関わらない生き方をしてきたクールな男が、珍しいほど激昂したり、酒に溺れたりもするのですから。

でもリック、安心してください。映画の中では、エルザは一度も夫とはくちびるを重ねませんから(それもどうかとは思うんですが^^;)。
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「ボクと出会うためにキミはひとりでいたのかい」
「このキスがすべての答えよ」
とろけるようなセリフの数々。
やっぱり恋愛映画はこうじゃなくっちゃ。

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ボギーは当時42歳。役柄では37歳。でも見た目では50近いのかと(^^;)。
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by kiyotayoki | 2006-02-11 11:49 | 映画(か行)