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映画の心理プロファイル

『砲艦サンパブロ』(1966 米)

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原題:『THE SAND PEBBLES』(195分)
監督:ロバート・ワイズ
脚本:ロバート・アンダーソン
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:スティーヴ・マックィーン
    リチャード・クレンナ
    キャンディス・バーゲン
    リチャード・アッテンボロー
    マコ

この映画を久しぶりに観ていて、WBC(ワールドベースボールクラシック)との深い因縁に気づかされて「う~ん」とうなってしまいました。

映画の舞台は、1926年の中国・揚子江。1926年といえば昭和元年。暗くて悲惨な20年が始まった年。これは時代の大きなうねりに翻弄されていく男達、そして女達の物語なのです。
お話の主人公は、この演技でアカデミー主演男優賞にノミネート(最初で最後?)されたスティーヴ・マックィーン扮する機関兵ジェイク・ホールマン。
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でも、真の主人公はタイトルにもなっているオンボロ砲艦サンパブロなのかも。
この砲艦、前世紀末の米西戦争(1898年)の戦利品というだけあって、旧式で見た目は砲艦とは思えないシロモノ。大砲だって1門だけだし(^^;。
その戦争で、アメリカはフィリピンやグアムだけでなくカリブ海の島プエルトリコをスペインから奪い、キューバを保護国として事実上の支配下に置いちゃうんですね。そう、WBCで大活躍したカリブの国々です。アメリカの支配下になったので、その後ますます野球が普及したんでしょう。
今回のWBCでは、その国々からアメリカ(大リーグ)が野球でしっぺ返し(恩返し?)を食らっちゃった形かな。

さて、砲艦サンパブロはというと、博物館に展示された船のごとく揚子江の上流にポツンと停泊しています。捨て置かれているといったほうが的を射ているかも。米国政府としては欧米列強(&日本)が食い物にしている中国での利権を確保するため、そして現地にいる自国民保護のため、どんな辺境にでも軍を派遣していなくてはならなかった。けれど中国は広大です。で、こんな軍事的にも重要でない土地ならスクラップ同然の砲艦で十分と考えたのでしょう。
体裁を整えるだけの軍隊ですから兵士の志気が高まるわけがなく、艦内の面倒な仕事は全て現地の中国人まかせという体たらく。
責任感がなくなると人はどんどん手抜きをするようになる・・・・、これはいろんな心理実験でも確かめられていること。
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そこへ転任してきたのがジェイク機関兵。ジェイクは腐れ切った艦内事情に呆れかえりながらも、中国人の若者ポーハン(日本人俳優のマコ)を一人前の機関士に育てることに希望を見出していきます。
けれど、時代はそんなささやかな希望さえも吹っ飛ばしてしまいます。
1世紀近く虐げられてきた中国人民が各地で独立を目指して蜂起し始めたのです。それが砲艦サンパブロとその乗り組み員たちの運命も変えていくことになるのですが・・・。

撮影当時35歳のマックィーン渾身の一作。後半、もう少しちゃんと人物像が描かれていれば主演男優賞も夢ではなかったかも。
ま、彼にはそういう賞は似合わないかもしれませんけれど。
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by kiyotayoki | 2006-03-26 12:30 | 映画(は行)