映画の心理プロファイル

『コールガール』(1971 米)

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原題:『KLUTE』(115分)
監督:アラン・J・パクラ
脚本:アンディ・ルイス
    デイヴ・ルイス
音楽:マイケル・スモール
出演:ジェーン・フォンダ
    ドナルド・サザーランド
    ロイ・シャイダー

“失踪”をテーマにした映画って、ジャンルを作れるほどありそう。
この懐かしい映画も、ある男の失踪がきっかけで物語が動き出す作品です。

主演は、この演技でアカデミー主演女優賞を得たジェーン・フォンダ(当時33才)と、前年の『M★A★S★H』で一躍“時の人”となったドナルド・サザーランド(当時36才)。フォンダはもちろんですが、寡黙な探偵を演じるサザーランド(若い!)がイイ味出しています。
今回、超久しぶりに見直してみて「アッ・・・」。原題『KLUTE』のクルートはサザーランドの役名だったんだ。高級コールガールを演じるウルフカットのフォンダばかりが脚光を浴びた映画でしたが、実はサザーランドこそが物語の主役だったんですね。
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お話は、失踪した科学者の手がかりを求めて大都会ニューヨークへやってきた探偵クルートがコールガールのブリー(J・フォンダ)を訪ねる辺りから佳境に入っていきます。
が、ミステリー自体の謎はそれほど深いものではありません。
パクラ監督が描きたかったのは、それよりも大都会の表ではなく裏の部分。それを象徴するコールガールの生き様だったんでしょう。

ブリー自身、表の顔と裏の顔を使い分けて暮らしています。表はモデルや舞台女優を夢みる女性の顔、裏は女の性を売り物にする娼婦の顔。
表の顔ではなかなか芽の出ないブリーは、憂さを晴らすかのように裏の顔では名女優ばりの演技力で男たちを手玉に取ります。
高額の料金を取るだけあって、美貌も性技も一流。
また、「いいクチビルしてるのね」「素敵な声だわ」と、男のどこかを褒めることを忘れません。この辺りは高級コールガールならではのテクニックなのかな。
人は「不安を解消してくれた相手には好意を感じる」もの。一流の女を前にして緊張して立つものも立たなくなってる男たちにとって、こうした心遣いはお世辞でも嬉しいし自信回復にもつながる。そして、ブリーに好意を寄せて常連になってもくれる。効果は抜群というわけです。

そんな、男たちにとっては天使のようなブリーですが、自身は毎週のように精神科医にカウンセリングを受ける身ってんですからコールガールって仕事も楽じゃないってこと。表の顔と裏の顔を使い分ける日々にほとほと疲れ切っているんでしょうね。
クルートは、そんなブリーの心のすき間を埋めてくれる存在になっていくのですが・・・。

【印象に残ったシーン】
夜の果物市場で買い物をする2人。束の間の恋人気分を味わうようにクルートの背中にそっと寄り添ってはにかむブリー。
このシーンに心惹かれたアカデミー会員、きっと多かったんじゃないでしょうか^^。
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by kiyotayoki | 2006-06-10 18:59 | 映画(か行)