映画の心理プロファイル

『ボビー・フイッシャーを探して』(1993 米)

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原題:『SEARCHING FOR 
    BOBBY FISCHER』(110分)
監督・脚本:スティーヴン・ザイリアン
原作:フレッド・ウェイツキン
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演:マックス・ポメランク
    ジョー・マンテーニャ
    ショーン・アレン
    ベン・キングスレー
    ローレンス・フィッシュバーン

これも一種の失踪モノかもしれません。
タイトルにある“ボビー・フッシャー”という人物、チェスファンならご存じですよね。
14才で全米チェス王者となり、1972年には当時の王者スパスキー(ソ連)を破り世界の頂点に。けれど3年後、世界王者のタイトルのかかった勝負をすっぽかして消息を断ってしまったチェスの天才です。

でも、ずっと失踪しっぱなしだったわけじゃなく、1992年、フィッシャーはユーゴスラビアに突然現れて72年に負かしたスパスキーと再び相まみえ、再び勝利して335万ドルの賞金を得るという快挙を成し遂げ、また消息を断っちゃった(その時、姿をくらましたのは米国政府を怒らせたという理由もあったらしい。当時、米国はユーゴに経済制裁をしていて、米国民はユーゴに関わる経済活動が禁止されていた。フィッシャーはその禁を破っちゃったのです^^;)。

驚いたのは、その後、世界各地を転々としていたフィッシャーが2001年頃からはこの日本に住んでいたということ。でもって、日本を拠点としてあちこちに出かけていたらしい。それが2004年にバレちゃって、成田で入管法違反で捕まり拘留されたりもした(その後、2005年3月に出国。今は市民権をくれたアイスランドに住んでいるんだとか)。
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そんなお騒がせな天才のことを知ったのは、この本を買ったのがきっかけでしたから1980年頃だったのかな。チェス好きの従兄弟と対局するために、せめてやり方ぐらいは覚えとかなきゃと思って読んだんだけど、そのおかげでなんと勝っちゃった(2度やると化けの皮が剥がれると思ったので、1局だけで勝ち逃げしちゃいましたが^^;)♪
そんなわけで余計にこの天才にはシンパシーを感じていたので、映画のほうも公開当時さっそく観に行ったものです。
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観て思ったのは、「チェスって頭の格闘技なんだなぁ」ってことでした。
特にNYのワシントンスクエアーでやってるストリートチェス(日本でいえば縁台将棋?)は、まさに格闘技!
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チェスを知らない人が見たら対局時計の早押し競技かと思うほど素早く駒を動かしスイッチを叩き合います。7才のジョシュがチェスに魅せられたのも、最初はその素早い動きだったんじゃないかなと思うほど。
ジョシュはストリートチェスの手練れヴィニー(『マトリックス』のR・ウィッシュバーン)に手ほどきを受けるうちに天賦の才が開花。そんな息子の才に驚いた父親のフレッド(J・マンテーニャ)はその才能を伸ばそうとかつての名プレイヤー・ブルース(B・キングスレー)に指導を依頼します。最初は断ったブルースも、ジョシュのチェスの才に気づいてからは「ボビー・フィッシャーの再来だ!」と惚れ込むまでに・・・。

このお話、父親フレッド・ウェイツキンの書いたノンフィクションが元になっています。実話なんですね。原作は読んでいませんが、たぶん才能ある息子の自慢話が半分、もう半分はステージパパ化した自分の反省の弁が綴られた本なのではないかしらん。
自分の叶えられなかった夢を息子に託す。これは心理学でいうと『代償』って行為なんでしょうけど、スーテジママと違って男性の場合は亀田兄弟のパパにしてもこのフレッドにしても“勝負に勝つ”ことに熱中するところがあるみたいですね。
   
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やたらアップの多い映画ですが、大人たちの思惑とは別なところ、盤面ではなく遠いところを見ているようなジョシュ少年の大きな瞳が印象に残る作品です。
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by kiyotayoki | 2006-06-13 20:17 | 映画(は行)