映画の心理プロファイル

『北海ハイジャック』(1980 米)

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原題:『NORTH SEA HIJACK』(100分)
監督:アンドリュー・V・マクラグレン
原作・脚本:ジャック・デイヴィス
音楽:マイケル・J・ルイス
出演:ロジャー・ムーア
    ジェームズ・メイスン
    アンソニー・パーキンス

『007』シリーズのロジャー・ムーアと『サイコ』シリーズのアンソニー・パーキンスが対決する映画です。
対決するといっても派手に殴り合うわけではなく、ほとんどは心理戦。久しぶりに観ましたが、それを楽しむ映画なんですね、これ。だから、派手な活劇を期待した人はちょっと肩すかしを食らうかも。

パーキンスが扮するのは、北海の油田基地に爆弾を仕掛けて英国政府相手に2500万ポンドを要求する犯罪集団の首領クレイマー。
一方、ムーア扮するのは、その企みを阻止すべく政府に雇われた海洋専門の特殊部隊の隊長フォークス。
この特殊部隊はどうも私設のものらしい。“らしい”というのは、その辺のところがあんまり詳しく描かれていないから。
その代わり、隊長フォークスの人となりは詳しく描かれます。
結婚経験はあるものの現在は一人暮らしで、猫をこよくな愛する男。
煙草はやらず、飲む酒はストレート。
徹底した能力主義で、自己の能力には絶大なる自信と確信がある。
また、徹底した男尊女卑的思想の持ち主でもあり、趣味は刺繍・・・

ミス(失敗)は、慢心が起因するものと不安からくるものがありますが、フォークスのような“自己効力感”の強い男は慢心からミスをおかす場合が多いもの。最近問題になってる「飲酒運転による交通事故」も原因は飲酒ドライバーの慢心なんでしょうね。
ところが、フォークスは部下だけでなく自分にも厳しい鍛錬を強いている、つまり他人にも自分にも厳しい男なのでその類のミスもおかしにくい。
そこが同じく自己効力感の強い犯人クレイマーとの違いで、ラストはそれがモノをいうことになります。

フォークスの唯一の欠点は、ハナっから女性は男性より能力が下だと思い込んでいるところでしょうか。それは海の男ゆえなのかと思っていたら、それもちゃんと本人が説明してくれます(^^;。
それによると、両親と死別したフォークスは5人の姉と一緒に叔母に育てられたんだそうな。だもので、幼い頃から女という生き物のマイナス面を嫌というほど味わわされたらしい。海軍に入ったのも、きっと女のいない世界に行きたかった、そして男としての誇りを取り戻したかったからなんでしょうね。で、安心したのも束の間、魔が差して結婚してみたら、妻の姉妹が5人も自宅に転がり込んできたんだと。それで益々骨身にしみちゃったみたいなのです。ご愁傷様(^~^;)
いやしかし、アクション物でこれくらい主人公の人となりが露骨に語られる映画も珍しいかも。

『サイコ』以来、あまりいい役に恵まれなかったパーキンスですが、この役は偏執狂ぶりが板についていてハマリ役だと思います。老優ジェームズ・メイスンもいい味を出していました。
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by kiyotayoki | 2006-09-15 12:30 | 映画(は行)