映画の心理プロファイル

『ディック&ジェーン』(1977、2005)

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オリジナル版とリメイク版を見比べてみました。

基本的なお話は同じ。
夫のディックが突然失業。それまでのリッチな生活から一転、生活保護を受けるまでに。
窮したディックは妻のジェーンと泥棒稼業を始め、最後は会社を潰しておいて自分だけのうのうとリッチな生活を送る元社長に仕返しをするというコメディ。

オリジナル版で夫婦を演じるのは、ご無沙汰のジョージ・シーガルジェーン・フォンダ。リメイク版はジム・キャリーティア・レオーニ
まあ、リメイクされるまでに四半世紀以上(28年)も経っていますから、ハリウッドもすっかり世代交代してしまいましたね。
時代が感じられるのは、それぞれの亭主が勤める企業。
オリジナル版は宇宙開発企業、リメイク版はIT開発企業。共通してるのは、どちらもちょっと盛りを過ぎた産業であること。だからこそ企業のオーナーは資産温存のために自ら会社を潰すという暴挙に出ちゃうんですね。

そのしわ寄せは何も知らない社員に。突然の解雇に戸惑うディックとジェーン。
オリジナル版のほうは、時代が時代だけに収入源は夫だけ。だからさっそく生活に赤信号が点っちゃう。
だけど、リメイク版は夫婦共働きが当たり前の現代。ジェーンもちゃんと働いています。収入源が1つ減っても急にシグナル点滅とはならないし、生活に窮して泥棒を働くこともないだろう。
さて、どうするのかなと思ったら、さすが脚本家、うまいこと考えますね。
実は経営者の策略なんですが、まずディックは解雇されるどころか昇進しちゃう。重役のポストをもらい給料も大幅アップ。有頂天になった夫は妻に「子供のためにも会社をやめて家事に専念すれば?」と勧めます。社内の人間関係に疲れていた妻もそれを快諾し退社。ストレスのないバラ色の人生が始まると喜んだ直後に、亭主が失職の憂き目にあっちゃうという仕掛け。

だけど、貧乏になったからって急に生活のレベルは落とせない。ご近所に対する見栄もあるから、今までと変わらない生活をしようとする。となると、借金まみれになるのは時間の問題。このあたりの展開は時代は変われどどちらも同じ。人間の悲しい性(さが)が出ていて、コメディなのにちょっと重た~い気分になっちゃう(^^;。
それにしても自民党の業界ベッタリの貸金業規制法案には頭にきますね。年金利を28%から25.5%にして良しとする神経が信じられない。
比較するのは変かもしれないけど、大切な落とし物、たとえば財布を拾ってくれた人へのお礼でさえ1割が相場。それを3割近くも取るなんて尋常じゃない。しかも、借りる側は他に金策のあてがない困窮者がほとんど。その救済のための法案なのに、議員たちの顔は政治献金をしてくれる業界のほうにばっかり向いちゃってる。
まあ、お金に不自由しない特権階級の人達に貧乏人の気持ちや実情を分かれっていうほうが無理な相談のかなぁ。

映画としての出来ですが、どっちもどっちという感じではあるけれど、
結末はオリジナル版のほうが好きかも。
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by kiyotayoki | 2006-09-16 10:43 | 映画(た行)