映画の心理プロファイル

『ゲッタウェイ』(1972 米)

a0037414_1242999.jpg
原題:『THE GETAWAY』(123分)
監督:サム・ペキンパー
原作:ジム・トンプソン
脚本:ウォルター・ヒル
音楽:クインシー・ジョーンズ
出演:スティーヴ・マックイーン
    アリ・マッグロー
    ベン・ジョンソン
    アル・レッティエリ  

久しぶりに見直してみて評価が上がる作品と下がっちゃう作品がありますが、これは意外にも(というのもナンですが)前者でした。
マックイーンの出演作としては、カッコよくてタフな彼を堪能できる最後の作品なんじゃないかな(これ以降の作品は、どんどん渋くなっていくので^^;)。

刑務所内の工作所で規則正しく鳴り続ける自動織機の音。延々と続くその単調な音がこれからも延々と続くであろう味気ない刑務所暮らしとシンクロして、男(S・マックィーン)を苛立たせます。茫漠たる絶望感。耐えきれなくなった男は、面会に来た妻に「仕事をするとベニオンに伝えてくれ」と命じます。
男の名はドク・マッコイ。妻の名はキャロル(A・マッグロー)。
夫の指示通り、地元の実力者ベニオン邸を訪れるキャロル。
その甲斐あってか、ドクは仮釈放を許されます。

久しぶりの娑婆に解放感を味わうドク。
ちなみに『娑婆』は広辞苑によると「苦しみが多く、忍耐すべき世界の意」とあります(^^;。うむむ、否定はできないなぁ。
ひとときの解放感を味わったドクでしたが、娑婆はやはり娑婆だということをガツンと思い知らされることになっちゃう。
ベニオンはドクの仮釈放実現の見返りにキャロルの肉体的奉仕を求めていたのです。おまけにドクに仕事(銀行強盗)をさせたら、部下のルディ(A・レッティエリ)に始末させるつもりでいた。金と女の一挙両得を狙っていたのです。
a0037414_12203497.gif
だけど、危機回避能力と銃の腕はルディよりドクのほうが上だった。
それに、キャロルはたとえ他の男に身を任せてもドク一筋の女だった。
このわかり易さがいい。
複雑すぎる心理描写はアクション映画には不向きだもの。

それから始まる2人の逃避行。
迫り来る追っ手(ボスのベニオンを殺された上に銀行から奪った金まで持ち逃げされているので必死デス)。飛び交う銃弾あめあられ。まさにペキンパーの世界。

この作品、1994年にアレック・ボールドウィンとキム・ベイシンガーでリメイクされていますが、比較して観てみると面白いですね。たとえば、妻のキャロルはリメイク版のほうが自己主張をするし確実に強くなってますし(夫にひっぱたかれたら、ひっぱたき返します^^)。そういう点では、ベイシンガーのほうがマッグローより魅力的かな。
だけど、ボールドウィンとマックイーンは比較にはならない。
もちろんマックイーンの勝ち。
a0037414_21411665.jpg
a0037414_21483552.jpg
脇役陣もオリジナルの勝ちかな。特にジイちゃん役者たち。田舎町のホテルの支配人をやったダブ・テイラーにしても、ラストに登場するスリム・ピケンズにしても、出てくる時間はちょっとなのにその存在感はさすがに年季が入ってます。
[PR]
by kiyotayoki | 2006-11-27 21:49 | 映画(か行)