映画の心理プロファイル

『カポーティ』 その2(&『ティファニーで朝食を』)

恵比寿ガーデンシネマで観た映画『カポーティ』は、
いかにも文芸作らしいシンプルなタイトルロールでした。
そうそう、戸田奈津子さんじゃない字幕映画を観たの、久しぶりだったかも^^;。

この映画が描くのは、35歳から40歳頃のカポーティ。
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その頃、カポーティの名は世界的に知れ渡ります。というのも、1958年に出版した小説『ティファニーで朝食を』が61年にオードリー・ヘプバーン主演で映画化されたから。
ただ、トルーマン自身は主演がヘプバーンだったことに椅子からずり落ちるほど落胆したんだとか。ってのも、彼はマリリン・モンローをイメージしてこの作品を書いたらしいので。
そういう目でこの作品を見直してみると、ふーん、なるほど~。
オードリー演じるホリーは、獣医で農業も営む田舎の男と14歳で結婚するも、味気ない生活に耐えきれず家出、NYに出てコールガールを始めるんですが、モンローのデビュー前の経歴と似ています(モンローは16歳で結婚、4年で離婚してヌードモデルなどを始めます)。
幼少期にネグレクト(親の養育拒否)にあっていて、人の愛を信じられずにいつも不安定な人間関係・恋愛関係になってしまうところもホリーとモンローは似ています。しかも、それは作者カポーティの幼児体験とも相似してる。
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人が恋に落ちるきっかけの一つとして類似性は大きなモチベーションになりますが、カポーティがモンローに魅力を感じたのは自分と似たニオイを感じたせいかもしれません。
当時モンローは、結婚した劇作家アーサー・ミラーとNYで暮らしていたので、2人はセレブのパーティでよく顔を合わせていたでしょう。モンローとミラーの夫婦関係は終始不安定だったといいますから、ひょっとしたらカポーティは後釜を狙っていたかも(^~^;。
ただし、2人で踊っている写真を見るかぎりでは、その目はなかったと思われますが(だってモンローの目が「この人、キモい」って訴えてる感じだもの^^;)。

『ティファニーで朝食を』は、「もし自分がモンローのような女として生まれていたら・・・」というifから生まれた作品なのかもしれません。

カポーティの作品歴を調べると、58年の『ティファニーで朝食を』から次回作の『冷血』を書き上げるまでに8年もかかっています。なぜそんなに年月がかかったのか・・・、その理由が映画『カポーティ』ではじっくり丹念に描かれていました。
なぜ『ティファニーで朝食を』のようなラブストーリーを書いたカポーティが冷徹なノンフィクション小説を書くに至ったのか、そのあたりの謎も解けるはず・・・。
そして、晩年のカポーティがアルコールと薬に溺れ、なぜ59歳で早世してしまったのかも見えてくるような映画・・・。
それにしても、作家ってエゴの塊じゃないと務まらない職業なんだな。
内容についてもっと書きたいところですが、まだ映画は始まったばかりなので、このへんにしておこうかな(^^
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フロイトの娘アンナ・フロイトが診断したところでは、モンローには境界性人格障害の傾向が強く見られたんだとか。この人格障害の特徴は「愛する人や大事な人に見捨てられるという不安を絶えず抱えていること」。そのため、人間関係が不安定になりやすく、衝動的な行動にも出やすい。モンローの若すぎる死の原因も、そのあたりにあるんでしょうか・・・。
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by kiyotayoki | 2006-10-04 11:24 | 映画(か行)