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映画の心理プロファイル

『かもめ食堂』(2005 日)

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外国語題:『ruokala lokki』(105分)
監督・脚本:荻上直子
原作:群ようこ
エンディングテーマ:井上陽水『クレイジーラブ』
出演:小林聡美
    片桐はいり
    もたいまさこ
    マルック・ベルトラ

“ひと手間かける”ことの大切さ、楽しさを教えてくれる映画でした♪

主人公のさちえ(小林聡美)は、日本から遠く離れたフィンランドの港町ヘルシンキ(だけど、日本から最も近い欧州の国なんだって!)で『かもめ食堂』という小さな日本食レストランをひとりで切り盛りしています。でも、だからって暖簾や提灯のかかった店を想像しちゃいけませんよ。外見や内装はシンプル&オシャレなカフェって感じ。
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切り盛りしてると書いてしまいましたが、開店したのは1ヶ月前。珍しそうに店内をのぞき込む人はいてもまだ1人もお客が来ないという閑古鳥状態。ひとりでもヒマを持て余しているというのが実情なのでした。
だけど、さちえはそれを気にする風でもなく、黙々淡々とグラスを磨き、プールに通う日々を送っています。
この黙々淡々ムードは、お客第一号・日本のアニメおたくのフィンランド青年が通ってくるようになっても、日本からやってきた2人の女性旅行客みどり(片桐はいり)とまさこ(もたいまさこ)が店を手伝うようになっても変わることはありません。なかなか陽が沈まない夏のフィンランドの1日のようにゆったりまったりと物語が綴られてく。なのに、観ていて飽きることはまったくない。それどころか、そののんびりムードが心地よくてどんどん身をゆだねたくなっちゃう。

ロケーションの良さはもちろんだけど、さちえを演じる小林聡美がとにかくいい。凛としていて、自分がやりたいことに関しては妥協はしない。かといって、他人の意見に耳を貸さないわけじゃなく、思いやりは人一倍。そんな彼女とアンサンブルを組む片桐はいりともたいまさこもそれぞれに良い味を出していて、大人の童話のような世界にリアリティを加味してくれています。
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そして何よりさちえの作る料理がどれも美味しそうなのがいい。目と耳で味わわせてくれる。
鮭の網焼きも、豚の生姜焼きも、トンカツも、そしておにぎりもみんな美味しそう(^~,^。
厨房のスペースも店の3分の1ぐらいは確保されていて、作業がとってもしやすそう。あんなキッチンだったら、僕でも料理を毎日作りたくなっちゃいそうです。
メニューの中では、映画には出てこなかったけど、「パプリカのきんぴら」ってのが気になっちゃったな。
もうひとつ気になったのが、コーヒーをいれる時のおまじない「コピ・ルアック」。このおまじないをかけるだけでコーヒーがひと味違ってきちゃうというん。
これ、大切なのは、おまじないの言葉を口ずさむことでひと呼吸おくってことなんでしょうね、たぶん。そして、心をこめてお湯をそそぐ。そんな“ひと手間を惜しまない”こと、“ひと手間を楽しむ”こと、それが美味しいコーヒーをいれるコツ、大袈裟にいえば人生を楽しむコツなんでしょうね。

最近、コーヒータイムはインスタントコーヒーで簡単にすましちゃってるけど、久しぶりにコーヒー豆を挽いてみよっかな・・・そんな気にさせてくれる映画でした。
by kiyotayoki | 2006-11-11 16:08 | 映画(か行)