映画の心理プロファイル

『パフューム ある人殺しの物語』(2006 独・仏・瑞西)

昨年末以来、
ずっと控えていた劇場での映画鑑賞、
久しぶりに楽しんできました。
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今年初の映画に選んだのは、
あちこちのブログで話題になっていた
パフューム ある人殺しの物語』。

原題:『PERFUME: THE STORY OF A
    MURDERER』(147分)
監督:トム・ティクヴァ
原作:パトリック・ジュースキント
脚本:トム・ティクヴァ他
ナレーション:ジョン・ハート
出演:ベン・ウィショー
    ダスティン・ホフマン
    アラン・リックマン

もう何年も前のことですが、魔がさして坂本龍馬を主人公にした小説をペンネームで書いたことがあります。
そのとき資料を調べていて「へぇ~、そうだったんだ」と思ったのは、幕末に日本を訪れた欧米人が日本の清潔さに驚き、何人もが日誌に書き留めていたという事実。
彼らが驚いたのは下々の人々までが清潔に暮らしていたこと。身につけているものは粗末でも、みんな小ぎれいに身繕いをしてる。悪臭も放ってない。自分の国ではあり得ないことだと驚いてるんですね。
江戸時代の庶民の文化がそれだけ高かったってことでしょうけど、この映画を見ると彼らが驚くのも無理もない話だと思えてしまいます。

舞台は18世紀のパリ。この時代のパリは文化の香りだけでなく、悪臭もふんぷんと放つ街であったことが冒頭でこれでもかと描かれます(^^;。
画面に現れた魚市場はドロドロ、ベトベト、グチャグチャ。とにかく吐き気をもよおす(実際、吐いてる人もいる;)グロい世界。
主人公ジャン=バティスト・グルヌイユはそんな中で、急に産気づいた売り子の女によってボチャッとこの世に生を受けちゃう。
そのままうち捨てられるところを命長らえたジャン=バティストには、ひとつだけ人と違う能力があった。それが犬も真っ青の鋭い嗅覚だったのです。
その嗅覚がどれほどすごいのかを表す映像が面白かったな♪
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ジャン=バティストがその類い希な能力に磨きをかけるのは、パリの落ちぶれ調香師バルディーニの押しかけ助手になってからのこと。
バルディーニに扮するは名優ダスティン・ホフマン。
ホフマンといえば「だから調香師に選ばれたのかな」と思うほどのデカイ鼻の持ち主。ところが、皮肉にも年のせいかその鼻がもう利かなくなっちゃってる役なんですね、これが(^^;。
その鼻の代わりを自分ならできると、ジャン=バティストは売り込んだのです。
売り込み方はさすが超絶嗅覚の持ち主って感じ。カクテルだってあんなに乱暴には調合しないだろって勢いで、矢継ぎ早に香りのエッセンスを混ぜ合わせて、アッという間に当時流行していた香水のコピーを作ってみせちゃう。

嗅覚って、視覚や聴覚と違って脳の本能を司る部分に中枢があることがわかっています。だから考えて判断できるものじゃないんですね。配合に必要なのは直感なんだな。だからこそのあのワザだったんでしょう。

不幸だったのは、ジャン=バティストの目指したものが“一流の調香師になること”ではなかったってこと。彼なら、望めばすぐにでも超一流の称号は手に入れられたはず。
ところが、彼の心をとらえて離さなかったのは、そんな下世話なものじゃなかった。
彼が求めていたのは、心をとろけさせるようなある芳しい匂いをできるだけ長く留めておく方法だったのです。
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果たして彼の超絶嗅覚が究極の香りとして探り当てたものとは・・・(ひょっとして、この赤毛の女の子と関係ありなのか???)。
それを求めるあまりに、ジャン=バティストは恐るべき凶行へと駆り立てられていくのだけれど・・・。


まだ始まって間がないし、これ以上の映画評は書かないでおこうと思いますが、久しぶりの映画館での鑑賞だったので、余計に満足度は高かったですよ♪




そうそう、脚本は3人の連名になっていましたが、
その中にアンドリュー・バーキンという名が。
調べてみたら、この人、先日話題にしたジェーン・バーキンのお兄さんなんですってね。
『ジャンヌ・ダルク』や『薔薇の名前』の脚本にも参加していて、『ルナティック・ラブ/禁断の姉弟』って妖しげな作品では監督もしてる。しかも主演には姪っ子のシャルロット・ゲンズブールを起用しちゃってる。
劇場未公開らしいけど、ビデオ出てるのかなぁ。
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by kiyotayoki | 2007-03-12 23:40 | 映画(は行)