映画の心理プロファイル

『薔薇の名前』(1986 仏・伊・西独)

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原題:『THE NAME OF THE ROSE』(132')
監督:ジャン=ジャック・アノー
原作:ウンベルト・エーコ
脚本:ジェラール・ブラッシュ他
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演:ショーン・コネリー
    F・マーレイ・エイブラハム
    クリスチャン・スレイター
    ロン・パールマン

キリスト教のタブーを扱っているところは、「ダ・ヴィンチ・コード」と似た部分があるけれど、こちらのタブーのほうが宗教の本質を突いている分、深いかも。
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初めてこの映画を観た時は、ショーン・コネリーの枯れた外見や演技に驚いたものですが、久しぶりに観てみたら、なんのなんの、枯れてるどころか男の大人の色気がまだ十分漂っていて、すこぶるセクシー(この場合のセクシーは、acoyoさんの「乾いた感じ+知性」って解釈がぴったり^^)。修道僧の格好をしていなかったら、女性が放ってはおかなそうな男っぷり。

舞台はたぶんルネサンス前の、時間が止まったような中世ヨーロッパ。
お話は、コネリー扮する修道僧ウィリアムが弟子のアドモとともに要塞もどきの僧院へやってくるところから始まります。

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アドモを演じるのは、これが映画デビューのクリスチャン・スレイター(当時16歳)。
初々しい美少年だったんだなぁ。これを映画館で観た当時は、まさかこの子が後に主役として色んな映画に出ることになるとは思いもよらず・・・。

難解と評判の原作はもちろん読んでいないけど、原作者のウンベルト・エーコは名うてのシャーロッキアンなんですってね。そんなエーコだからか、ウィリアムはシャーロック・ホームズ並みの洞察力と推理力の持ち主として描かれています。ってことはアドモの役割は、ワトソンということかな。
そんな2人が僧院滞在中、勃発するのが奇怪な連続殺人事件(2人目の犠牲者なんか、「犬神家の一族」のポスターみたいな死に様です^^;)。
それを解明していくうちに、2人は決して触れてはならぬ宗教界のタブーに足を踏み入れていくことになっちゃう。
そのタブーとは・・・。
うーん、書くと長くなるので、ヒミツってことで(^^;

とにかく、研ぎ澄まされた観察眼と論理的思考で真相に迫るウィリアムがぶち当たった壁は分厚く強大なものでした。それは、千数百年の歳月をかけて構築され、塗り固められたキリスト教という教義の壁だったから。

その壁は、難攻不落と思われたけれど、意外にもろい部分があった。
というのも、緻密に論理的に組み立てられているように見える教義の中心が、ある意味ファンタジーでできているから。教義の根本は、教祖のたぐいまれなるひらめき(天啓)から生まれたものですものね。
論理性では、ウィリアムに分があった。
なのにウィリアムは壁にひれ伏さざるを得なくなる。
ウィリアム自身がファンタジーを内包したキリスト教の熱心な信者だったし、教会には国王もたじろぐほどの権威と権力があったからです。
都合が悪くなると、異端審問にかけ、拷問で無理やり自白させ、あげくの果てには火あぶりの刑に処しちゃうんですから、かないません。
あ、あ、書くと長くなるから、ホントにこの辺で(^^;。

まあしかし、先日観た「パフューム」同様、臭い、グロい、汚い世界がこれでもかってほど描かれているので、その手の映像が苦手な人だと、最初のほうで根をあげる人が出てくるかもしれません。でも、それを乗り越えると、どんどんお話に惹きこまれていくこと間違いなしの映画ですよ。

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劇中、異形の人々が何人も登場しますが、中でも強烈なのは、ロン・パールマン扮するサルバトーレという男。醜男で、愚鈍で、強欲。そんな役を楽しそうに演じているパールマン、気になる俳優さんです。



   
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by kiyotayoki | 2007-04-13 17:36 | 映画(は行)