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映画の心理プロファイル

『僕の大事なコレクション』(2005 米)

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原題:『EVERYTHING IS ILLUMINATED』(105分)
監督・脚本:リーヴ・シュライバー
原作:ジョナサン・サフラン・フォア
音楽:ポール・カンテロン
出演:イライジャ・ウッド
    ユージン・ハッツ
    ボリス・レスキン
    ラリッサ・ローレット

前回ご紹介した『ホテル・ルワンダ』が直球だとすれば、こちらは似たようなテーマを扱ってはいるけれど、超スローな変化球(魔球?)って感じの映画。

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これって、バイプレイヤーとしてよく顔を見る俳優リーヴ・シュライバーの初監督作品なんですってね。
初めての作品としては、かなり善戦というか、センスの良さを感じさせる絵づくりが印象的。

監督も原作者も(主役も)、ユダヤ人です。
ユダヤ人はジョークの天才だとよく言われます。
たとえばこんなジョークがある。

Q「ユダヤ人を百人フォルクスワーゲンに乗せるにはどうしたらいい?」
A「4人を座席に、96人は灰皿に

Q「ビザとユダヤ人の違いは何?」
A「ピザはオープンに入れても泣き叫ばない

一瞬ギョッとするようなジョークだけど、これらは悲惨な過去を人々が忘れ去ってしまわないように、ユダヤ人自身が広めているジョークなのだそうだ。
つらい過去に蓋をしてしまいがちな日本人とは対照的。
ある意味、相当したたかとも言える。

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この映画も中盤までは、ゆるゆる脱力系のユーモアがそこここに散りばめられてる。
イライジャ・ウッド扮する主人公ジョナサンからして変なキャラだし。
一九分けの髪型に分厚い凸レンズのメガネ姿も変だけど、家族にまつわるものなら何でもジップロックに入れてコレクションにしてしまう変な趣味の持ち主。
そんなジョナサンが、アメリカからはるばるウクライナへやってくる。
目的は、亡くなった祖父の命の恩人を探すため。

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探す手立ては、セピア色の古い写真一枚っきり。
その写真には、若き日の祖父と若い女性が写っている。
そして「アウグスチーネとトラキムブロドにて」という裏書きが・・・。

キエフの駅には、案内役として雇われたらしい地元のとっぽい兄ちゃんが楽団とお待ちかね。
このアレックスという兄ちゃん、見た目はチンピラ風なんだけど、案外人がいいというか、純朴というか。ジョナサンが陰の人なので、このアレックスの陽で随分と救われてる感じ。
演じているユージン・ハッツは18歳でウクライナからアメリカへ移民してきたそうで、この役にはピッタリの人。挿入歌やエンディングの曲を歌っているのもこの人らしい。

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このお話には、もうひと組、陰と陽のコンビが登場します。
アレックスの祖父(陰)と、飼い犬のボーダーコリー、サミー・デイヴィスjr.jr(陽)。この祖父もかなりの変人で、自分は目が不自由だと言い張りながら、オンボロ車(トラバント)を運転している。
この3人と1匹がトラキムブロドという村を探し求める旅に出る。そして、なぜ老人が盲目だと言い張っていたのか、その理由もだんだん観ている側に伝わってくる。

地図にはない村、トラキムブロドを求めて、3人と1匹の旅は続きます。
が、見渡す限りの大地に咲き誇るひまわり畑の中にポツンと建つ農家を訪ねた時、
唐突に、旅の終わりはやってきます。

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ネタバレになってしまうだろうけど、地図にない村に、主人公のお爺さん世代のユダヤ人が絡んでいたら、そりゃあその村で何があったか、想像するのは難しくないですよね。

一面のひまわり畑で思い出す映画といえば、
やはりヴィットリア・デ・シーカ監督の『ひまわり』(1970 伊)
デ・シーカのほうの映画では、ひまわりの咲く大地の下には無数のロシア兵とドイツ兵の死体が埋まってた。
そして、こちらの映画では・・・。

太陽の化身とも思える花ひまわりは、まさにの花。
その陽の花の下に隠された大地は。その陰の大地に隠された秘密を探り当てるには、やはりの主人公であるべきだったのかな・・・。
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by kiyotayoki | 2007-08-24 09:53 | 映画(は行)