映画の心理プロファイル

『ザ・コンテンダー』(2000 米)とダメージコントロール

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原題:『THE CONTENDER』(127分)
監督・脚本:ロッド・ルーリー
音楽:ラリー・グルーブ
出演:ジョーン・アレン
    ゲイリー・オールドマン
    ジェフ・ブリッジス
    サム・エリオット

最近、よく耳にする言葉に
ダメージ・コントロールがある。

簡単にいうと、何か問題が発生した時にどう対処するか、
そしてその問題によるダメージをどのようにして最小限にするかと言うこと。

ダメージ・コントロールが功を奏した例として有名なのが、
1998年に起きたクリントン大統領の不倫騒動かな。
世界を動かす超大国の大統領の不倫スキャンダルですから、そのダメージは計り知れないものがあった。放っておくと、政権維持も危うかった。
その危機に直面して、クリントン大統領サイドが打った手は、
テレビの前で視聴者に向かって「不適切な行為をした」と告白するというものだったんですね。
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Indeed, I did have a relationship with Ms. Lewinsky
that was not appropriate.
In fact, it was wrong.
It constituted a critical lapse in judgment and a personal failure
on my part for which I am sorry and completely responsible.

~事実、私はルインスキーさんと適切でない関係にありました。
 たいへん悪いことをしました。
 私自身の重大な判断の誤りであり、自ら犯した過失であって、
 すべての責任はひとえに私にあります~

これが国民に好意的に受け取られ、ダメージをかなり抑えることができたっていうんですね。

このコメントで、上手いなと思うのは、「不倫をした」と言わずにnot appropriate(不適切な)なんて難しくて抽象的な言葉をつかって、事実を曖昧にしちゃってるところ。
一方で、謝罪するときは、wrongとかI am sorryといった誰にでもわかる言葉ではっきりと謝ってる。
これを聞いた人は、「大統領は何かいけないことをしたんだけど、ちゃんとそれを認めて謝った。なら大目にみてやろうじゃん」みたいな判断を下したんでしょうね。
しかも、これ記者会見じゃない。報道陣を一切入れずに直接国民に語りかける方式をとった。
もし記者会見だったら、「不適切な関係とは何のことですか?」とか、マスコミに集中砲火を浴びるところだ。それをさせなかったのもコントロールが効いた一因でしょうね。

そのあたりが、こないだの桜パパの釈明会見との違いかな。
朝青龍みたいに沈黙して憶測をふくらませずに、すぐに会見したのはダメージコントロール的には正解だったけど、桜パパは報道陣に厳しく突っ込まれて、激高しちゃった。
言わなくてもいいことを喋って、後々墓穴を掘る原因を作っちゃった。
かえって火に油を注いじゃったかもな(^^;
ま、それでも沈黙したままの朝青龍よりマシだったけどね。
こういうのは風評被害が、一番ダメージになりやすいんだから。

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前置きが長くなってしまいましたが(^^;
この映画で描かれるのも、ある女性代議士が我が身にふりかかったセックススキャンダルにいかに対処したか、ダメージコントロールをしたか、です。
これがただの代議士じゃない。
副大統領の急死に伴って、アメリカ史上初の女性副大統領候補の指名を受けた女性。
演じているのは、この秋公開される『ボーン・アルティメイタム』にも出ているジョーン・アレン。硬質なイメージの女優なので、女性議員役にはぴったりかな。

彼女が正式に副大統領となるためには下院の司法委員会が開く聴聞会を経て議会の承認を受けなければならない。過去が洗いざらい調べ上げられちゃう。

日本の大臣選びとは比較しづらいけど、こういうのを経て選ばれてたら松岡某も赤城某も(そして名前も覚えられないうちに辞めちゃう新大臣も)大臣になれず、結局、自民党は評判を落とすことはなかったかも(^~^;

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その聴聞会の委員長を務めるのが、ゲイリー・オールドマン扮するシェリー。女性副大統領誕生を阻止すべく、スキャンダルで主人公を窮地に陥れる重要な役です。
この映画でも、ゲイリーはゲイリーらしく、ただでは登場しません。
髪の毛をこんなに薄くしての熱演。
(エンドタイトルでは、この人が一番最初に登場。主役はゲイリーだったのか?)


そうそう、クリスチャン・スレイターが26歳の若手議員の役で出ていて、そりゃあ年齢的にムリがあるんじゃないのと思って見ていたんですが、年齢を調べてビックリ。
彼、まだこの時は30歳。
年齢的にはムリのない役だったのね。失礼しました(^^;。
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by kiyotayoki | 2007-09-02 15:01 | 映画(か行)